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東海愛知新聞

真横に寝ての食事

市民病院職員 論文で総合リハビリテーション賞

岡崎市民病院医療技術局職員でリハビリテーション室所属の言語聴覚士長尾恭史さん(47)ら10人がまとめた論文が、リハビリテーション業界で権威がある論文賞「第29回総合リハビリテーション賞」を受賞した。

題名は「急性期重度嚥下(えんげ)障害患者に対する完全側臥位(そくがい)導入による帰結の変化」。重度の嚥下障害(食事を飲み込む動作がうまくできない状態)の患者の食事中の誤嚥を防ぐ方法として同院で2016(平成28)年から導入している、完全側臥位(平らなベッドで真横を向いて寝た状態)での食事摂取の効果がまとめられている。

筆頭著者の長尾さんによると、完全側臥位での食事は嚥下障害患者の誤嚥防止策として近年知られるようになってきたが、同院が受け入れる急性期(けがや病気などの治療を始めたばかりの状態)の患者に対しての効果は確認されていなかった。難色を示した看護師らもいたが、度重なる安全性確認や院内勉強会などを通じて行われるようになった。

導入前と比べ、重度の嚥下障害の入院患者が退院時には口から食事ができるようになった割合が19%から48.6%になった。また、入院中に誤嚥などで肺炎を合併する患者の割合は38%から16%とほぼ半減した。

経口での食事摂取は回復のために重要だが、嚥下障害を併発することもあり、そうした患者の経口での食事は誤嚥性肺炎や窒息の危険性を伴うことになる。横たわる患者の体位を変えるだけで対策できるため、職員らの負担も少なく、同院に定着。長尾さんはさらに、市内の入院施設のある民間の医療機関や老人福祉施設などにも完全側臥位での誤嚥防止対策を広めている。

長尾さんは「当院の治療の質が良いものであると認めてもらえた。こうした取り組みが市民の入院時の不安軽減につながればうれしい」と笑顔を見せた。

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