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東海愛知新聞

被災地へ八丁味噌

岡崎のカクキュー 福島出身の僧侶に寄託

岡崎市八帖町の合資会社八丁味噌(カクキュー)がこのほど、2011(平成23)年の東日本大震災で被災した福島県双葉町内の子どもらに八丁味噌をプレゼントするため、被災地支援を行う僧侶の泉智仁さん(33)=名古屋市=に八丁味噌5箱(1箱3キロ分)を託した。泉さんは3月に同町を訪れ、幼稚園1園、小学校2校、中学校1校の園児、児童、生徒に八丁味噌を届ける。 ()

伝統の大切さを子どもたちに

泉さんは福島県南相馬市生まれ、いわき市育ちで、24歳のときに被災。祖父が住職を務め、自身も手伝っていた浪江町内の寺院が津波で流された。もう1つの寺院(南相馬市)は東京電力福島第1原発から半径20キロ圏内にあることで立ち入れなくなり、避難を余儀なくされた。その後、福島を離れて大阪、茨城、岡山の寺院を転々とし、現在は名古屋市の覚王山日泰寺に勤める傍ら、震災の語り部や鎮魂の太鼓演奏といった被災地支援を行っている。

今回は、被災地の子どもたちに対して自身が移り住んだ地域の伝統工芸品や地場産品を紹介し、伝統の大切さを伝えようと19年から実施している活動の一環。震災による浪江町大堀地区の伝統工芸品「大堀相馬焼」の絵師の廃業や岡山県の「美作(みまさか)」の作り手減少などに直面し、「伝統を続けるのは大変だが、なくなるのは早い」と痛感したことがきっかけという。

八丁味噌を選んだ理由は「東海地方で伝統的なものとして知られている。教科書に掲載されているものを子どもが見て触れて、味わう機会になる」と説明。提供を依頼された同社は「八丁味噌で被災地の方に少しでも健康になってもらえたらうれしい」と快諾した。

1歩ずつ進み復興のゴールへ

泉さんは「出来上がるまで2年以上かかる八丁味噌を通じて、『復興も時間はかかるが、1歩1歩進めばいつかはゴールにつながる』と伝えたい」と述べた。3月11日で震災から10年になることについて、「自分も当時のことを忘れがちになっているが、原発事故による避難指示で今も家に帰ることができない人は多い。そのことを少しでも多くの人に知ってほしい」と思いを語った。

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