1年の無病息災を
上地で火渡り神事、元能見で七草がゆ
岡崎市内各地で1年間の無病息災を願う伝統行事が行われた。6日夜には上地町の木曽御嶽本教額田教会上地御嶽山(田中明一郎教会長)で「火渡り神事」が行われた。7日には元能見町の能見神明宮で健康を願う「七草がゆ」が振る舞われた。(髙木駿太郎)
上地御嶽山
火渡り神事は毎年、寒さが厳しくなり始める「寒の入り(小寒)」(5日ごろ)に合わせて健康や火災除けなどを願う大正時代から続く恒例行事。例年は約150〜200人が参加している。
今年は新型コロナウイルス感染拡大防止のため、参加者らに昨年まで振る舞っていた甘酒と食事を中止し、マスク着用などを呼び掛けた。
午後7時ごろ、5メートル四方に積まれたヒノキやマツの葉に塩をまくなどしてお祓いをした後に点火。高く上がる炎に参加者から歓声が上がった。
火が弱まると中心を歩行用に開け、参加者らがはだしで火が残る焼け跡を歩いた。合掌をしながら歩くお年寄りや母親と手をつないで進む女児、途中で「熱い!」と飛んで通過する男子といったさまざまな「火渡り」があった。
家族で参加した地元の女性は「今年は(昨年に比べて)熱かったけれど、これで1年無事に過ごせると思う」と話し、子どもは「渡る前は足が冷たくてつらかったけれど、渡っているときは熱くてつらかった」と振り返っていた。
能見神明宮
能見神明宮では、恒例の「春の七草かゆの会」が開催された。七草がゆは、五節句の1つである「人日」のこの日に、「春の七草」(セリ、ナズナ、ゴギョウ、ハコベ、ホトケノザ、スズナ=カブ、スズシロ=ダイコン)の入ったかゆを食べて健康を願うものとして知られる。
参加者は加藤和子宮司の祈祷を受けた後、コメともち米、湯葉が入ったかゆの中に、自ら細かく刻んだ七草を入れて味わった。
毎年参加しているという女性は「正月疲れの体に優しい七草がゆがうれしい。心が洗われる」と話していた。
同会は約30年前から毎年行われている。今年は、新型コロナウイルス感染拡大を考慮して七草がゆを味わうか、祈祷だけ受けるかの選択式にした。