東海愛知新聞バックナンバー
 10月31日【水】
むらさき麦で焼酎
酒類卸シバタの柴田会長が提案
「大公館」と命名
岡崎市

 爰(ここ)も三河むらさき麦のかきつばた―。旧東海道の宿場町「藤川宿」で知られる岡崎市藤川町で栽培され、町内の芭蕉句牌にもその名が刻まれている「むらさき麦」が、「大公館(だいこうかん)」と名づけた本格むぎ焼酎に商品化された。
 業務用酒類卸会社シバタ(岡崎市八帖北町)の柴田伊三雄代表取締役会長(62)が、同町でむらさき麦を栽培していた1人、鈴木忠さん(69)に提案した。柴田会長を通じて、しそ焼酎などを手がける大手製造元「合同酒精」(東京都中央区)に生産を依頼した。
 柴田会長によると、大公館は麦の色素「アントシアニン」が一般的な麦焼酎の10倍。「焼酎にありがちなアルコール臭のないフルーティーな味に仕上がった」という。
 商品化できたのは1,300本(1本720ml)。うち500本を土がめで貯蔵し、3年後に古酒として販売する。また「おかざき地産地消セレクション」では初のアルコール類として認定された。
 むらさき麦は食用に不向きで、松尾芭蕉の300回忌に当たる平成6年に試験栽培が成功してからは、町内の住民らが観賞用などにごく少量を栽培してきた。
 町内では「藤川宿まちづくり研究会むらさき麦部会」(小林奈翁彦部会長)を設立した。鈴木さんの水田約2,700平方メートルで、小学生や住民も手伝い、590キロの麦を収穫。焼酎には約400キロを使用した。今年は11月中旬に新たな種をまく。
 来年以降は2、3千本の生産を目指すが、鈴木さんは「そのために、まずは種の確保が課題」と話す。将来的には6,000平方メートルに栽培地を拡大したいという。
 大公館は来月3日から開催される市民まつりの商工フェア、岡崎ジャズストリートの籠田公園フードコートで各50本が限定販売される。定価2,100円。限定販売後は居酒屋などに卸すという。





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