東海愛知新聞バックナンバー
 9月1日【土】
“耳マーク”を知ってほしい
岡崎の中心市街地 表示促進へ 1枚250円
難聴・中途失聴者の会
普及めざし活動開始
商議所、小学生が協力

 難聴者や中途失聴者も気軽に買い物がしたい―。聴覚に障害を持ち、岡崎市難聴・中途失聴者の会会長を務める羽田野裕子さん(48)=同市洞町=が、岡崎商工会議所や同市梅園小学校の児童たちと協力して、中心市街地の商店街を手始めに「耳マーク表示板」の普及に動き出す。背景には「耳マーク」の認識不足が原因で、聴覚障害者が店側と意思疎通をはかりにくい実情がある。
 地域限定のソーシャルネットワークサイトで羽田野さんと知り合った市内の服飾店員、天野めぐみさん(45)は羽田野さんを通じて、聴覚障害者が買い物で直面する苦労を痛感。「商店街の回覧板で耳マークの周知をしたらどうか」と羽田野さんに持ちかけた。
 これを受けて商工会議所に協力を打診したところ、以前から羽田野さんを知る同市梅園小の柵木弓教諭(49)も賛同。担任の6年4組で、耳マークのPRに力を入れているグループ「耳マークを知ってもらおうYO!」の児童9人が加わった。
 羽田野さん、天野さん、柵木教諭と児童たち、商工会議所の職員らは先月30日、康生通東二の街情報ステーションに集合。羽田野さんを中心に、「耳マーク表示板を店に置いてもらうにはどうすればいいのか」を話し合った。
 商工会議所は、事前に各商店街の理事長らに趣旨を説明した上で、表示板の注文書を兼ねたチラシと、児童たちの手づくりチラシを回覧板に折り込むことに合意した。表示板を1枚250円で商店に購入してもらい、羽田野さんが直接、届ける。今月中旬から始めたいという。
 羽田野さんは「買い物をする時、店先に耳マークの表示があれば聴覚障害者は安心して入店できます」と訴えている。

店員さんと意思を通わせたい
 聴覚障害者は外見からの見分けがつきにくく、羽田野さんは「入った店で店員とコミュニケーションが取れないのは非常に残念。こちらが障害者だと分かると、素通りして行ってしまう人も多いんです」と肩を落とす。
 しかし「中には知られることを嫌がり、意思表示をしない聴覚障害者も。耳が聞こえる側ばかりに求めるのではなく、聞こえない側も活動し、相互理解から広く耳マークを知ってもらうことに意味があります」と話す。
 また、店舗などで耳マークの周知が進まない一因として、羽田野さんは「聴覚障害があることや、筆談に応じることを示す耳マークグッズの販売方法」を挙げる。グッズは全日本難聴者・中途失聴者団体連合会のホームページなどから購入できるが、「グッズの単価より高くつく送料がネックになっている」と指摘。「聴覚障害者の置かれている状況を理解してもらえる耳マークの普及」を求めている。





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