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東海愛知新聞

昭和、平成とともに

八丁魚光が今月末で閉店

岡崎市八帖町の会席料理店「八丁魚光」が30日で閉店する。親子三代で営業を続けてきた老舗は、昭和と平成の80年間で世の中の栄枯盛衰を見てきた。三代目店主の渡辺英二さん(50)は「皆様には感謝しかない」と振り返り、最後の1週間に臨む。()

1938(昭和13)年に同市田町で創業。英二さんの祖父・正夫さんが矢作の魚光本店で修業後に独立、のれん分けで魚屋「魚光支店」を始めた。その後、兼業として仕出しや料理屋、宴会場も設けた。83年に国道1号拡張工事に伴い、現在地に移転。法人化して「八丁魚光」に改めた。英二さんは96年に56歳で亡くなった父・光夫さんの後を継いだ。

50年以上店に携わる英二さんの母・治美さん(76)は「各時代でいろいろな方が来店した。夫亡き後は閉店も考えたが、大阪で修業中の次男(英二さん)らを思い、続ける決意をした。普通ならお目にかかれない方との出会いは宝物」と話す。

バブル期には店の前にタクシーの渋滞ができるほど盛況だった。2015年の家康公400年祭では、同店で德川宗家や徳川四天王の子孫らの記念座談会が開かれ、テーマに沿った料理を提供した。

閉店理由は、店舗の老朽化や人手不足、仕入れ環境の変化など複数あるほか、「家族としては、やり切ったという思いがあった」と英二さん。跡地はマンションになる予定。会社は継続し、卸売市場がある欠町の岡崎魚内に事務所を借り、次の展開を見据えるという。

閉店日まで予約いっぱいの状態。「岡崎に帰ってくる人が集まる場所でもあったと聞く。閉店は寂しいが、幸せだった。店は平成で幕を閉じるが、お客様には素晴らしい令和の幕開けを迎えてほしい」

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