東海愛知新聞バックナンバー

 7月14日【金】

ビンゴで犯罪ガード

岡崎のデザイン事務所 詐欺被害防ぐ手段を考案

高齢者を狙った特殊詐欺被害が全国的に多発する中、岡崎市大西3のモアイデザイン事務所(藤本和浩代表)が考案した防犯啓発用ビンゴカード型チェックリスト「ビンゴガード」が、新たな防犯対策として注目を集めている。デザインを手掛けた藤本さんは「多くの人に使ってもらい、被害に遭う人を1人でも減らしたい」と話している。(大山智也)

ビンゴガードはA5サイズの両面カラー刷りで、表面にはビンゴカード風の4×4の升目に「カバンをなくした」「ATMに行け」といった犯人が電話口で使用する文言を記載。裏面に折り込む形で升目を開けると、裏面を啓発チラシとして活用できるようになる。また、インターネット業者や市役所職員、息子、警察官など、犯人がかたる肩書き別に専用のカードがあり、新たな手口が確認されれば種類を増やして対応できる。

主に高齢者向けの防犯講話などでの活用を想定しており、カードの升目を開けるには集中して話を聞く必要があるため、自然と関心が高まる。さらに、升目の状況で理解度を確認でき、使用後のカードは自宅の電話機近くなどに掲示しておけば防犯意識の向上にもつながる。

6月に幸田町内で開かれた高齢者向けの防犯講習会で使用したところ、参加者から「話を聞くだけだと眠くなるけれど、カードを見て手を動かすから覚えやすい」と好評だったという。

昨年9月に防災・防犯情報マッピングサイト「防災防犯ドットコム」を立ち上げ、地元学区で登下校の見守り活動のマニュアルを作成するなど、デザインによる地域貢献活動に取り組んでいる藤本さん。地域の高齢者が狙われる特殊詐欺についても関心を寄せ、警察などによる特殊詐欺の啓発サイトなどを見る中で「詐欺の手口がパターン化できるのであれば、防ぎ方もパターン化できるのではないか」と思い立ち、対策方法を検討。その結果、被害を防ぐには犯人に狙われやすい高齢者の自己防衛力向上が不可欠と考え、防犯講話などの理解を助けるビンゴガードを考案した。

幅広い分野に応用可

当初は防犯啓発品として考案されたビンゴガードだが、周囲から「防犯以外でも活用できるのでは」という声が寄せられ、試験的に防災や観光用などのビンゴガードも作成。防災グッズの購入チェックリスト、立ち寄った名所の升を開けると裏面が立体的な地図となる観光マップなど、カードの形状が最大限に生かされている。

同市若松東1の布団の野畑屋では、同店主催の講座や接客などで使用するため、敷布団のメンテナンス方法をまとめたビンゴガードを導入。店主の志村文教さん(48)は「ビンゴカードならチラシと違ってすぐに捨てられることもなく、使った後には布団の取扱説明書として置いておけるのがいい。敷布団以外にも羽毛布団や枕などのバリエーションも増やせそう」と話す。

藤本さんは「まだまだ発展途上。防犯啓発に限らず、幅広い場面で情報や専門知識を分かりやすく伝えるための手段として活用してほしい」と期待する。

ビンゴガードに関する問い合わせは、藤本さん(090―2777―0557)か事務所ホームページから。