東海愛知新聞バックナンバー

 4月21日【金】

「違和感」「未知の世界」

衆院区割り案 “東三河”に移る幸田町の反応

衆院選挙区画定審議会が「一票の格差」是正のために新しい区割り案を安倍晋三首相に勧告したことを受け、選挙区が従来の愛知12区から14区に移る幸田町では反発や動揺の声が上がるなどさまざまな反応があった。(竹内雅紀、横田沙貴)

今年3月時点の選挙人名簿登録者数は幸田町が3万1768人。岡崎、西尾市を合わせた12区は47万5621人で県内15選挙区中最多。豊川、蒲郡、新城市と、設楽、東栄町、豊根村、豊田市の一部(旧稲武町)の14区は26万7262人で最少。幸田町が移行しても30万人に達しない。

幸田町は隣接する岡崎市との結びつきが強い。3年後に市内に開院予定の大学病院や消防システムの共同運営などで連携を進めており、西三河唯一の町としても存在感を示している。一方で、東三河の蒲郡市とは斎場やし尿処理場の共同運営はあるが、連携は岡崎市と比べると少ない。今回の区割り案は「数合わせ」を優先し、地域特性を軽視との見方が強まっている。

重徳和彦氏(民進)は20日朝、JR幸田駅前での街頭活動で「選挙区は変わるが、西三河の一員として幸田町の発展に取り組む」と強調。「つらい。前回選挙で負託を受けている。国への要望活動などはこれからも協力する」とした。次期選挙への影響は「有利、不利は考えたことがない」と明言を避けた。

青山周平氏(自民)は「寂しい。広域行政の結びつきが切り離されるようで残念」とした上で「14区の議員にしっかりと引き継ぎをしないといけない」と述べた。選挙への影響については「気にならない」としたが「幸田町の行事などに呼ばれることも減るだろう」との懸念を示した。

大須賀一誠町長は「違憲状態解消のための一時しのぎという印象。撤回できるならばしてほしい。地域の特性を考えてほしい」と心情を打ち明けた。勧告の事前通知や打診は一切なく「報道で知るまで何も知らされなかったことが釈然としない」とした。山本富雄総務部長は「東三河の候補者は住民には未知の世界。減少傾向の投票率のさらなる低下が危惧される」と不安を口にした。町は区割り見直しを求める要望書の提出を検討している。

仏壇製造業都築数明さん(44)=大草=は「14区は広大で、東三河独自の地域行政を形成している。幸田町の声が吸い上げてもらえるか不安」、日本語学校顧問の成田重忠さん(77)=荻=は「違和感はある。数字だけでなく、さまざまなことを議論し、有権者の声や感情を聞いて進めるべき」と述べた。

2年前の県議選で合区となったばかりの岡崎市と幸田町。岡崎市・額田郡選挙区選出の県議は「これからどうなるのか未知数」と、“ねじれ”が生じた国の思惑と地域の現状に困惑しながら語った。