東海愛知新聞バックナンバー

 3月20日【日】

我が子の愛情を形に

岡崎の飯田樹脂 メモリアル身長計を販売

自動車生産機械の樹脂切削加工を請け負う「飯田樹脂」(岡崎市矢作町)が、ものづくりの技術を応用して、子を持つ母親や女性の視点で生み出したメモリアル・ブライダル商品を10年前から展開している。2月からは、子どもの成長が一目で分かるオーダーメードの「メモリアル身長計」の受注を始めた。創業時から女性の雇用・職場環境に力を入れる飯田幹雄社長も、男性にはない感性に期待を寄せている。(今井亮)

昭和63(1988)年に創業した同社は、役員と従業員14人の“町工場”。このうち6割に当たる8人を、“ものづくり女子”である女性が占める。

メモリアル・ブライダル商品を発案したのは、飯田社長の長女で取締役の山川麻依さんとパートの山本加恵さん。ともに2児の母親だ。山本さんは13年前に正社員として入社したが、妊娠をきっかけに8年前に退職。1年前に再び声が掛かり、育児と両立するためパートとして再雇用された。

2人が最初に手掛けたのは、結婚を控えた取引企業の営業の男性に頼まれた樹脂製のウエルカムボードだった。受注は少ないものの、それをきっかけに赤ちゃんの手足をかたどったメモリアルボードや住宅の表札に発展。昨年11月に別会社の「R・f・resin」を立ち上げた。軌道に乗ったら事業の全てを移す予定だ。

新たに受注を始めたメモリアル身長計は、子育てに奮闘する母親ならではのアイデアを盛り込んだ。3原色を中心としたアクリル板の色、かたどるデザイン、子どもが好きな食べ物や乗り物といったイラストを彫り込むなど自由自在。イラストは山川さんと山本さんが手作業でペンキを塗って仕上げる。写真や計測記録を彫ったプレートをはめ込むといった、発注者の希望を実現するほか、持ち運びと収納に便利な折りたたみ式にもできる。

価格は税抜き6,000円から。オーダーメードの手間と作業を踏まえれば採算は合わない。だが、山川さんは「ウエルカムボード1つとっても、式場では数万円かかる既成品の種類の中から選ぶことしかできません。オーダーメードを安価に実現できる小回りの良さが中小企業の強みです」と話す。

飯田社長は「『かわいいからほしい』という感覚が男性にはない。『1人に対して1つのものを作る』というオーダーメードであることに価値を見出しながら、女性の自発性を尊重したい」と見守る。

問い合わせは同社(32―1747)へ。