東海愛知新聞バックナンバー

 10月7日【水】

「強化選手を選考します」

岡崎市 意図不明の手紙に困惑

岡崎市制100周年を迎えるに当たり、小学生のスポーツ強化選手を選考します」―。岡崎市内の児童宅にある日、こんな文言をうたった一通の手紙が郵送で届いた。差出人は「岡崎市体育協会・同市スポーツ少年団」。しかし、協会や少年団を含めた市側に覚えはない。実在する組織を装った要求のない意図不明の手紙。郵送に欠かせない住所や氏名を把握され、詐欺などの犯罪に発展する可能性も無視できないことから、市は同様の手紙に関する情報提供を呼び掛けている。(今井亮)

市民スポーツ課によると、書面には「選考を口外しないように」と念を押す記述があったことから、「他の世帯にも手紙が届いている可能性がある」と推察している。

ワープロで書かれた手紙の冒頭では児童の氏名が記され、インターネットを使ってダウンロードしたとみられる市制施行100周年の公式ロゴマークが添付されていた。

手紙の内容は「文化・体育部門で秀でた小学校高学年」を対象に、「スポーツ強化選手を選考する」というもの。「詳細については後日、こちらからご連絡します」という一文があったほか、金銭など具体的な要求をはじめ、連絡先の記載すらなかったという。

同課は「いたずらなのか。皆目、(目的の)見当がつかない」と首をかしげるが、「少なくとも、市がスポーツの強化指定選手を公募することはない。事実無根」ときっぱり。続けて「一見すれば公文書と取られ、あたかも行政が後押ししているかのような誤解を招く危険性もある」と語気を強める。

手紙の存在は、児童の保護者が面識のある陸上教室の顧問を通して協会に問い合わせたことで判明した。一通の手紙に端を発した被害は確認されていないが、市や協会は不可解な文面と犯罪に発展する懸念から、ホームページでの注意喚起と防犯情報メール配信による周知に踏み切った。

手紙に関する情報提供は市体育協会(53―7644)へ。