東海愛知新聞バックナンバー

 6月22日【火】

岡崎に「海」があった

細川町の郷土史家中根洋治さん発表
27日刈谷で愛知地名文化研究会例会

刈谷市産業振興センターで27日午後1時30分から開かれる愛知地名文化研究会の例会で、岡崎市細川町の郷土史家、中根洋治さん(66)=同研究会副会長=が「海進と地名」のタイトルで発表する。海進とは海が陸に入り込む現象。海面が現在より高かった大昔にさかのぼり、岡崎市など各地に残っている地名を海進と関連付けた。例会は誰でも聴講できる。無料。(佐宗公雄)

同研究会は9年前に発足、会員は約50人。中根さんのほか、事務局長の大山英治さん=名古屋市、会長の磯貝洋尚さん=豊田市=が発表する。

■区画整理で消える歴史と文化

中根さんは各地の郷土史家が著した本、地名・地質に関する書籍などを読み込み、現地を訪れて自分の目で確かめる。今回は豊田・猿投神社に残る古地図などを基に、海が現在の矢作川流域を上った豊田市域まであったことに着目した。

  1. 岡崎・六ツ美地区は旧行政区が碧海(碧(あお)い海)郡で、「浦」(入り江の意味)と名の付く地名が18カ所ある
  2. 岡崎市戸崎町、安城市柿崎町など「崎」が付く所はかつて「陸の先端」だった
  3. 岡崎市岩津町地内の矢作川で平成10年、流芯に岩脈が露出していた情景を写真に収め、「岩津」は岩のある「津」(船着き場)だったことが推定できる。

さらに、同市細川町の常久寺と豊田市渡刈町に「潮止弁天」がある。「潮止」はかつて海がこの地にあったことを意味する―という。

人類は文字を持たなかったころ、生きるうえで欠かせない狩猟場所などを意思の伝達手段の「言葉」で表してきた。それが「文字」となり今に残る。

「それにしても」と中根さん。「岡崎の六ツ美地区は圃(ほ)場整理が行われたが古い地名は多く残っている。しかし、新しい街区を造成する区画整理では、その地域の歴史を無視した地名が付けられるケースが多い。歴史的、文化的にみて大変惜しまれる」と話した。

刈谷市産業振興センターはJR東海道線刈谷駅・名鉄三河線刈谷駅前にある。例会では、中根さんが編集した「愛知の地名―抜粋」を実費の200円で配る。

また、この冊子を希望する人には200円プラス郵送料で頒布する。申し込み・問い合わせは中根さん宅(45―2658)へ。平日の夜と土・日曜が連絡を取りやすい。


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