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東海愛知新聞

常磐学区の“石造物”

岡崎 近藤さん(81)が本出版

岡崎市滝町の近藤長作(81)さんは、常磐中学校区にある石造物をくまなく調査して所在地、大きさ、寄進者などを明らかにし、写 真とともにまとめて『常磐の石造物』として出版した。B5判、150ページ。

近藤さんは西尾市に生まれたが、父方の親類である近藤家に養子として入り、家業のガラ紡業を継いだ。のちに特紡に転じたが、平成12年に廃業した。

旧常磐村は、江戸時代からの石材業と、明治初期に始まった水車ガラ紡の二大地場産業によって隆盛を誇った。しかし平成になって、産業構造の変化により両業種とも転職廃業が続いた。

既に近藤さんは、紡績に関する著作『常磐のガラ紡績の跡』『西三河の特紡・紡毛工場』を出版しており、研究者から高い評価を得ている。

今回、もう一つの地場産業である石材業の変遷をまとめるに当たり、「石材業については門外漢の自分が業界の歴史を書くことは無理だと思い、地区に残る石造物を調べることにした」とその動機を説明している。

採録された石造物は全部で238件。その一つひとつについて、種類、高さ、幅、厚さ(奥行)、径などの寸法、銘文などのほか、由来や経緯などを註記している。

近藤さんは、石造物を神社号標、狛犬、常夜灯、法篋(ほうきょう)印塔、庚申塚、仏足石、手水鉢、天水受、三角点など、31種類に分類して掲載している。

その中で「女神蛇像」は、滝町別当の山頂近くにあり、女神像の足元を蛇が巻いていることから、近藤さんが命名した。

近藤さんは「地区別の一覧表や所在地がひと目で分かる地図を付けておいたので、この本を手引きにして常磐の石造物を訪ねてほしい」と労作が活用されることを期待している。

200部を印刷。岡崎市図書館、郷土館、地元の小学校、市内の中・高校・大学、周辺市町の図書館などに寄贈した。

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