戦争の記憶 語り紡ぐ
岡崎市 節目での平和祈念式
日清・日露戦争から太平洋戦争までの戦禍で犠牲となった岡崎市民を悼む市主催の平和祈念式が18日、市図書館交流プラザ(りぶら)ホールで開かれた。遺族ら約70人が犠牲者の冥福を祈り、平和の尊さを心に刻んだ。
内田康宏市長は式辞で「戦争を直接知る世代が少なくなる中、多くの方々が戦争の犠牲となり、亡くなったことは未来永劫忘れてはならない。戦争の悲惨さと記憶を次の世代に継承することが私たちの使命だ」と述べた。
「誓いの言葉」では岡崎女子大学4年の粟田華さんが「今年は戦後80年の節目。私たちには戦争の傷が心に残っている方々の記憶を語り紡いでいく責任がある」と宣言した。遺族らによる献花も行われた。
1945(昭和20)年7月20日未明に市内で起きた岡崎空襲に関する講演もあった。空襲体験者の男性が登壇予定だったが、体調不良で急きょ欠席。「岡崎空襲を記録する会」の杉田隆志会長(70)が思いを伝えた。
男性の体験を基に制作された紙芝居で空襲当日の状況を説明。家族を失うつらさやまちが破壊されていく様子を紹介した上で「経験者が“向こう”に行ってしまう中、何らかの形で残していかなければ」と呼び掛けた。
参列した岡崎市遺族連合会の木俣正俊会長(84)=同市細川町=は「今日の平和で豊かな生活が、み霊の尊い犠牲の上に築かれていることを決して忘れてはならない」と力を込めた。 (犬塚誠)