二酸化炭素など吸収
岡崎のワタナベ鯉のぼり 大阪・関西万博で披露
環境に優しいこいのぼりを―。岡崎市唐沢町のワタナベ鯉こいのぼり株式会社がこのほど、空気中の二酸化炭素(CO2)などを吸収できる素材「MOF(モフ)」を使って制作したこいのぼりを大阪・関西万博の会場で披露した。伝統文化と次世代素材を組み合わせ、新たな工芸品の価値を提供しようとした試みだ。 (竹内雅紀)
MOFは「Metal Organic Framework」の略で「金属有機構造体」と訳され、金属イオンと有機分子から成る多数の小さな空洞がある多孔性物質のこと。最先端素材の開発を手掛けるSyncMOF株式会社(名古屋市千種区)とワタナベ鯉のぼりがコラボし、粉末状にしたMOFを顔料に混ぜて、こいのぼりの目の部分を染色した。目の部分の表面はザラザラした感触があり、空気中のCO2を吸収すると、濃い青だった目の色が徐々に水色に変わる。MOFの空洞部分にCO2が吸着されるという仕組みだ。
SyncMOFは15日に万博会場で、さまざまな企業とコラボした実例を紹介する「モフフェス」を展開し、コラボこいのぼり「MOF_NOBORI」もその一環として披露された。長さ80センチのこいのぼりは、青色基調と緑色基調の2種類。青色基調がCO2を吸収、緑色基調が空気中の水分を吸収するように施された。
ワタナベ鯉のぼりの渡辺健一郎専務取締役(38)は「環境に配慮した画期的なこいのぼり。最先端の技術を使い、こいのぼりらしくない斬新でモダンなデザインにした。伝統文化を大切にしながら、新しいことに挑戦しようと思って取り組んだ」と語る。万博会場では多くの人に染め体験をしてもらったという。
商品化は未定だが、こいのぼりや染色技術継承のために実施中のクラウドファンディング(CF、インターネット上での資金調達)の返礼として、万博会場内に飾った2種類のMOF_NOBORIを数量限定で用意している。詳細はCFサイトで。