日韓の懸け橋に
岡崎市立大樹寺小 光学級開設50周年
岡崎市立大樹寺小学校に設置されている韓国語や韓国文化の学習クラス「光学級」が本年度、開設50周年を迎えた。折しも今年は日韓国交正常化60周年。節目に合わせて、珍しい取り組みの現場を訪ねた。 (犬塚誠)
「ソンセンニム、アニョハセヨ!(先生、こんにちは!)」。毎月1回、月曜の午後になると、校内の学習室に韓国語のあいさつが響く。受講するのは4〜6年の31人。希望制で、部・クラブ・委員会活動とは異なる。
1年間のカリキュラムで学ぶのは韓国語の決まりや自己紹介のほか、韓国に伝わる遊びや料理、歌など。年度の始めと終わりには光学級としての「入学式」や「卒業式」があり、駐名古屋韓国総領事らも駆け付ける。
光学級の講師で、在日本大韓民国民団愛知県岡崎支部職員の黄美京さん(56)によると、光学級は戦後ほどない1949(昭和24)年、朝鮮半島にルーツがある人たちが立ち上げた「朝鮮学級」を起源としている。
背景にあったのは、在日の当事者たちが抱いた「自分たちの民族のアイデンティティーをなくしてはいけない」という思い。同じルーツを持つ子どもたちにも、祖国の言葉を知ってもらう狙いがあった。
前身は朝鮮学級
現在、市内で光学級を設置しているのは同校と市立井田小の2校のみ。共に朝鮮学級を前身としている。大樹寺小での開設は75年で、2002(平成14)年には「光学級」として正式に授業に取り入れられた。
開設から半世紀がたった今では、“民族教育の場”としてよりも日本人児童に向けた「韓国教室」という意味合いが強くなっている。受講希望者の中には、K―POPなどをきっかけに参加する児童も少なくない。
6年の大河原めい子さん(12)、丹羽里さん(11)、前山はんなさん(12)は「他の学校ではできない貴重な経験ができる」という理由で受講。韓国にも元々興味があったといい、「一度は行きたい」と目を輝かせる。
光学級の名称には「子どもたちに日韓の懸け橋、世の光になってほしい」という願いが込められているという。黄さんは「子どもたちには学んだことに興味を持ち、視野を広く持ってもらいたい」と期待を込める。