6月末で休止
歯科医師会独自の障害者診療
一般社団法人岡崎歯科医師会(田中浩之会長)が毎週木曜の午後に岡崎歯科総合センター(岡崎市中町)で行っている障害者向けの歯科診療が、6月末で休止する。同センターで2009(平成21)年7月に始まった同会独自の事業。患者に付き添う保護者は「貴重な場だけに休止は残念」と落胆を隠せない様子だ。(竹内雅紀)
「障がい者歯科診療」と銘打った診療は、多くの歯科医院が休診の木曜午後2〜4時に完全予約制で実施。歯科医師22人と歯科衛生士16人が3グループに分かれて輪番制で臨んでいる。1日当たりの構成は歯科医師2人、歯科衛生士7人。患者は未就学児から高齢者までと幅広く、自閉症や発達障害、身体障害などさまざまだ。直近3年間の平均患者数は年間延べ400人超となっている。
全ての歯科医院が障害者を万全の体制で受け入れられるわけではないため、同センターでの診療は貴重な機会となる。連れ添う保護者も一般の歯科医院と違い、人目を気にせずに安心して通わせることができるという。歯科医師や歯科衛生士は患者の様子をうかがいながら適度な声掛けをし、診療場所やスタッフに慣れてもらうための努力をしている。
社会貢献度が高い事業だが、課題は資金面だ。各医院の休診時に同センターでの診療に携わる従事者の人件費は、診療報酬で賄えない部分を同会員の会費で補てんしている。同会の要望が通り、2022年度から3年間は市の補助金が出た。障害者歯科診療を実施できる歯科医師、歯科衛生士を増やすといった育成名目で毎年243万円が同会に支払われた。しかし、今年3月末で補助金が終了。同会は新たな形の補助金を市に交渉したが得られなかったという。
同会は協議の結果、15年以上続いた独自事業の休止を決断した。患者らに配布されている書面には「資金面で運営が難しくなり、現在の診療体制は6月末をもって終了する。再開は未定だが、早期再開に向けて最大限努力する」といった内容が書かれている。
市保健政策課の担当者は「補助金の3年間は当初から決まっていた。従事者のスキルアップのためで、診療への補助金ではない。歯科医師会との話し合いは今後も続ける」と強調。診療報酬に上乗せする形での診療への直接的な補助金は出せないという考え方だ。また、補助金終了は既定路線で、市の財政難や首長交代などの影響は否定する。なお、健常者も含めた夜間歯科診療・休日歯科診療は救急医療体制確保のため補助事業として継続、保険診療ではない障害者の歯科健診は委託事業(障がい福祉課担当)として続く。
「障がい者歯科診療」の休止まで3カ月弱。同会ではこの期間に患者の治療を極力終えたいとしている。7月以降の治療は各歯科医院か愛知学院大学歯学部附属病院障害者歯科(名古屋市千種区)などでの対応となる。慣れない環境は患者や保護者にとっても大きな負担になる。同会担当歯科医師は「残された期間で、できる限り患者の治療を完了させたい」と言葉を振り絞る。