八丁味噌GI問題 岡崎の組合 追加登録
「伝統の味と文化伝える」
岡崎市八丁町の合資会社八丁味噌(カクキュー)と株式会社まるや八丁味噌でつくる「八丁味噌協同組合」(八丁組合)が24日、地理的表示(GI)産品の「八丁味噌」の生産者団体として追加登録された。2015(平成27)年6月に農林水産省へ登録申請をしてから9年7カ月強。八丁味噌発祥の地で伝統を守ってきた“元祖”がようやく認められる形となった。 (竹内雅紀)
14年6月公布の地理的表示法では、各地域ならではの環境下で長年育まれた産品の名称を知的財産として保護する制度(GI保護制度)が導入された。品質や製法なども重視されていたため、八丁組合はGI登録を農水省に申請した。
八丁味噌の名称由来は岡崎城から西に八丁(約870メートル)の場所で作られる味噌で、江戸時代から製造されている。木桶で仕込み、2年以上熟成させた天然醸造、円錐状の石積み、大人の握り拳サイズの味噌玉などの製法は現在も続いている。
産地や製法なども異なる愛知県内の醸造会社などで組織する「愛知県味噌溜醤油工業協同組合」(県組合)と長く対立し、八丁組合が申請を取り下げた隙に県組合が登録された。八丁組合やまるや八丁味噌が、不服審査請求や行政訴訟で県組合の登録取り消しなどを求めたがかなわなかった。また、法改正により、26年2月から八丁組合製造の八丁味噌が自由に「八丁味噌」と名乗れない状況になり、決断を迫られていた。
今回の追加登録は、県組合と八丁組合の“共存”を意味する。農水省によると、岡崎市八丁町は愛知県内に含まれ、製法も問題ないというような判断が下された。追加登録で26年2月からの名称使用の障壁が消えた。
八丁組合の早川久右衛門理事長と浅井信太郎副理事長は連名で「江戸時代からのこだわり製法で伝統の味と文化を伝え続けていくことが我々の使命と考える。長年『八丁味噌』をご愛顧いただいている皆様の期待に応えるよう、今回追加申請した」などとコメントしている。