岡崎警察署あす移転
新庁舎完成 駐車場は2倍以上
岡崎警察署の新庁舎がこのほど、岡崎市針崎町に完成した。現庁舎(同市明大寺町)の老朽化や駐車場不足を解消して住民の利便性を向上。県内の警察署では初めての射撃訓練場を備え、三河地区の治安維持や災害時の拠点となる。あす30日に供用開始。(酒井希実)
2022年10月に着工し、今年9月30日に完成した。総工費は約42億7000万円。敷地面積は約8500平方メートル、延べ床面積は約7581平方メートルで、現庁舎の約1.3倍となる。
鉄骨5階建てで、“岡崎らしさ”を取り入れたデザインになっている。外観は城下町の風情が残る「八丁蔵通り」の板張りの壁面や、東海道の宿場町として栄えた「藤川宿」の格子窓をイメージ。岡崎城の天守のように、四方に同じ顔を向ける。正面玄関周辺や2階交通課窓口には県産スギを使用したルーバー(細長い板を平行に並べたもの)を設置し、来庁者に親しみやすく開放的な印象を与える。
1階に落とし物を受け付ける会計課などを置き、運転免許や交通事故に関わる交通課のある2階には広い待合スペースを確保。運転免許を更新する人はこれまで屋外で待機しており、一部の検査は現庁舎と隣接する市美術館で行っていたが、新庁舎では庁舎内で完結するようになる。
駐車場台数は40台から93台に増え、利便性が向上。プライバシーに配慮したサポートルーム(相談室)も設置される。災害時にインフラが途絶しても3日間は補える機能を備え、防災拠点としての確実性を高める。
敷地内に射撃場を設置。これまで県内では春日井市の警察学校にしかなかったが、三河地区の訓練拠点とすることで警察官の技術を効率的に高める。
新庁舎で行われた落成式の後、愛知県警察の鎌田徹郎本部長、大村秀章知事らが内覧した。尾関元康署長は「岡崎署への期待を受けて身の引き締まる思い。住民が訪れやすく、被害や困り事を相談しやすい警察署にしていきたい」と述べた。
1964(昭和39)年に建設された現庁舎は老朽化が進み、60年間で署員は1.8倍の人数に増加。敷地が狭く、来庁者用駐車場が不足して付近で渋滞が発生するなどの問題もあった。現庁舎は12月以降に取り壊すが、跡地の活用方法は未定という。