野村萬斎さんら登場
幸田町 中学生が狂言鑑賞
幸田町立中学校全3校の2、3年生約950人を対象にした文化鑑賞会がこのほど、同町民会館で開かれ、狂言師の野村萬斎さん(58)らが狂言の公演を行った。町村合併70周年記念事業の一環。生徒は体験と鑑賞を通して、伝統芸能の面白さを体感した。(酒井希実)
伝統芸能で「大笑い」
前半は公益社団法人能楽協会所属の狂言師・中村修一さんと飯田豪さんが「金びょうぶのみのシンプルな舞台で演じる。言葉から物語の世界を想像しながら見て、演者と一緒に舞台をつくり上げる」などと狂言の特徴や面白さを伝えた。
各校の代表生徒約30人は舞台に上がり、「礼に始まり礼に終わる」稽古を体験。狂言の舞台の始めに登場人物が言う言葉「この辺りの者でござる」を例に、会場の奥まで届く声、「ジェットコースターみたいな」抑揚、おおらかな発音でせりふを言う練習をした。
また、「この辺りの者」である蚊を体現。その場で飛び跳ねるように足踏みしながら、羽に見立てた手を広げて羽ばたき、前に進んで「プーン」と高い声を出して、蚊の特徴を象徴的に表現した。最後は会場の全員で両手を広げて「ハーッハッハッハ」と言う「大笑い」の型で稽古を締めた。
後半では代表的な演目「附子(ぶす)」と「茸(くさびら)」を鑑賞した。野村さんは「茸」で山伏を演じた。屋敷中に茸(キノコ)が生えて困っている男にキノコ退治を頼まれた山伏が男の屋敷で祈祷をするが、キノコは増え続けて山伏にいたずらをする―というストーリー。狂言師たちが扮するカラフルなキノコが次々に現れてクルクルと動き回る様子に、会場は“大笑い”に包まれた。
舞台上で体験した幸田中3年の加藤佑典君(14)は「少し恥ずかしかったけれど、狂言師の人が元気よくやっていて、皆が笑顔だったので笑顔でできた。せりふは今と違う言葉だけれど、想像したら意味が分かった」と満足げに語った。