石灯籠を破砕、撤去
岡崎の柴田さん夫妻専門ボラで石川へ
岡崎石工団地協同組合理事で柴田石材工業所(岡崎市上佐々木町)の柴田昌司さん(59)、章子さん(50)夫妻が、能登半島地震の被災地・石川県志賀町で専門的な技術や知識などを持つ「専門ボランティア」として活動した。2人は民家の石灯籠の破砕・撤去作業に当たり、7〜9日の3日間で6カ所13基を撤去した。(横田沙貴)
3日間で13基
能登地方では庭に石灯籠を設置する民家が多く、地震によって倒壊する被害が発生。その中で、隣家の畑に石灯籠が倒れてしまったことに心を痛めたり、亡くなった夫が大切にしていた石灯籠が倒れているのを見て悲しいことを思い出したりする被災者もいたという。地元の業者は墓石の修繕などで手が回らず、志賀町災害ボランティアセンターには石灯籠の撤去依頼が多く寄せられたが、専門ボランティアが少なく、対応できない状態だった。ボランティア支援で志賀町を訪れていた社会福祉法人岡崎市社会福祉協議会の職員が同町のボランティアセンターから相談を受け、今回の柴田夫妻の活動につながった。
昌司さんは「北陸では『庭を造るのがステータス』と言われていたといい、私が子どものころは岡崎の石製品が北陸などへ行っていて、たくさんの恩恵を受けた。少しでも被災者の気持ちを和らげる技術があるなら手伝いたかった」と志願理由を話した。
現地では持参した電動工具を使い、石の目(割れやすい方向)を見極めながら、一般の災害ボランティアが運び出せる程度の重さになるまで砕いていった。すぐ近くに窓ガラスがある民家での作業や、高さ2.5メートルほどの大型の石灯籠の破砕も行った。また、志賀町では岡崎からやってきたという一般の災害ボランティアにも多く会い、同じ現場で作業しながら「石割りを知りたい」と作業を熱心に見ていたという。
昌司さんは13日に岡崎市役所を訪れ、中根康浩市長に活動内容を報告した。活動中の思い出として「石灯籠を撤去すると依頼者が喜んで、『岡崎で何かあったら行くでね』と言ってくれて、うれしかった。こういう支援の方法もあるのかと驚いた」と振り返った。
中根市長は「急なお願いだったのに、ご協力いただき感謝している。岡崎にも石灯籠は多いと思うので、いざというときはご協力いただけたらありがたい」と述べた。