“第二の家”に別れ
岡崎市立額田中敬信寮年度末で幕
岡崎市立額田中学校の寄宿舎「敬信寮」が本年度末で閉寮する。開寮から約半世紀。生徒たちの自立を見守ってきた“第二の家”は、間もなくその役目を終える。(犬塚誠)
敬信寮は開校翌年の1973(昭和48)年4月に開寮。旧額田町の豊富、宮崎、形埜、下山の4中学校が額田中に統合され、通学が不便になった生徒のために建設された。現在の建物は鉄筋コンクリート造り3階建てで、男女両棟にそれぞれ14室を完備。学年の異なる生徒が寝食を共にしながら、協力する力や自立する力を養ってきた。
2カ月に1度の「誕生者会」をはじめ、季節ごとに夏祭りやハロウィーンパーティー、クリスマス会といった寮独自のイベントもあった。企画・運営は寮生の役員が担った。
これまでの卒寮生は2584人で、同校全卒業生の40%に当たる。若手漫才師日本一を決める「M―1グランプリ2022」で決勝に進出したお笑いコンビ「キュウ」の清水誠さん(40)も、寮で過ごした1人だ。
同校などによると、全国に9000校以上ある公立中学校で、寮を併設しているのは20校ほど。愛知県内では同校のみだった。しかし、近年は寮生数が減少。1991(平成3)年に230人いた寮生は、本年度は56人だった。習い事や通塾といった生活状況や家庭環境の変化も出てきたことから、市は7年前に寮の存廃に関する検討を開始。その後、保護者らへのアンケートで閉寮に関する理解がおおむね得られたことから、廃止を決めた。
11日に行われた閉寮式には1、2年生の寮生約40人のほか、地域住民らが出席。思い出の詰まった寮舎に別れを告げた。寮長の夏目弘之校長は「建物はしばらく残る。時々この敬信寮を学校から眺めながら、ここで学んだことを思い出し、学校生活に生かしてほしい」、2年の倉橋翼君は「先輩方がつないできた寮が終わってしまうのは名残惜しいが、寮での経験を生かしてこれからも頑張っていく」とそれぞれ述べた。
寮舎の今後は未定。本年度まで寮を利用していた生徒は新年度以降、バスで通学する。
同校は16、17、20の各日、敬信寮を一般開放する。午前10時〜午後4時。誰でも自由に見学できる。問い合わせは、同校(82―3160)へ。