業務効率化進める
物流業界 2024年問題対策
自動車の運転に従事する人の労働時間などを定めた「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」(改善基準告示)の改正版が4月1日、適用される。トラックドライバーらの労働時間の規制強化に伴う配送への影響が、物流の「2024年問題」として懸念されている。(酒井希実)
厚生労働省の資料によると、トラック運転手は労働時間が長く、道路貨物運送業は脳や心臓疾患、過労死といった労働災害の請求・認定件数が最も多い業種になっている(20年度)。同時に深刻な人手不足も問題になっている中、長距離輸送や配送できる量などの輸送能力を下げないよう、関係事業者は業務の効率化を進めている。
運送業の業務効率化には、利用する人の協力も欠かせない。経済産業、国土交通両省は宅配便の再配達を減らす工夫として
- 確実に受け取ることができる日時や場所の指定
- 宅配ボックスや置き配、コンビニ受け取りの活用
- まとめ買いで配送回数を減らす
- 送り先の住所を正しく記載
―などを消費者に呼び掛けている。
岡崎市東大友町の岡崎通運株式会社では昨年5月、2024年問題に特化した部署「ガバナンス推進室」を設置。全ての運行状況について4月以降に違反にならないかを調べ、問題点の改善に取り組む。同社は労働組合との協定で1年間の就業時間を3408時間以内と定めていたが、4月以降には3400時間以内に抑える必要があるため、3月までにあと8時間を削る方法を探っているという。同部署の責任者を務める太田吉治理事は「人手不足は深刻だが、これまで1人で行っていた業務を2人以上で交代にする必要がある」と考えを巡らせる。「労働時間の上限規制によって、給料が下がる。稼ぎたくても稼げなくなる人もいる」との問題点も指摘した上で、「順守は絶対。運送業全体で改善に取り組んでいる」と力を込める。
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岡崎通運は1月1日に発生した能登半島地震の被災地支援をする岡崎市の依頼を受けて5日、石川県輪島市に飲料水や生理用品などの支援物資を届ける2トン小型トラック2台を派遣した。