上菓子組合が伝統の恵比寿講
商売繁盛を願う
岡崎市内の和洋菓子店で構成する「岡崎上菓子組合」は14日、同市康生通南3の日本料理店「うを勝」で商売繁盛を願う行事「恵比寿講」を開いた。組合員15人ほどが参列。神前で手を合わせて家業の繁栄を祈った。(犬塚誠)
床の間などに菓子の神・田道間守(中嶋大神)の掛け軸と陶像を安置。祭壇には生のタイ2匹を縄で結び合わせた「懸鯛」や海・山・里の幸、おはぎなどが供えられた。神事では六所神社(同市明大寺町)の大竹宗禰宜(44)が、田道間守や事代主(恵比寿)といった神々に祝詞を奏上。伊藤勝嘉組合長(85)らは玉串をささげた。
組合によると、毎年11月の恒例行事。掛け軸を納めた箱に記された文言から、遅くとも1951(昭和26)年には始まっていたとされる。昭和20年代ごろには呉服組合で盛んな風習だったが、結婚式などを通じて商売上のつながりがあった菓子組合でも行われるようになったという。現在、市内で実施している組合はほぼ皆無。「季節と時の行事を大切にする」という菓子店主人たちだからこその貴重な習俗だ。
供え物の懸鯛も、今ではめったにお目にかかれない品。古い写真を基にして、10年以上前に“復活”させた。作れる料理人が少なくなっている中、うを勝の協力で再び神前に並ぶようになった。
新型コロナウイルス感染拡大により、行事関連の注文が落ち込んだ菓子店。伊藤組合長は「これを機に一層商売に精を出すとともに、コロナ禍前のようにいろいろな仕事が戻ることを期待したい」と語った。