アプリ導入で負担減
岡崎市 町内会活動支援へ
町内会活動のデジタル化に向けたモデル事業が、岡崎市内の一部町内会で行われている。専用のアプリを使って役員の負担を軽減。担い手不足の解消を目指す。 (犬塚誠)
町内会活動支援アプリ「結ネット」を、細川学区の町内会などで導入。回覧や行事の出欠確認、アンケートといった事務を、スマートフォンから行えるようにする。印刷や仕分けに手間取っていた回覧準備は、ファイルを電子回覧板に送信するだけで完了。内容はいつでも確認できるため、町内会員の利便性向上にもつながっている。緊急時の一斉伝達や安否確認、役員の引き継ぎ書類の格納もできる。
利用に際しては町内会ごとにグループを作成。会員はアカウントを作ってログインする。デジタル機器の使用に慣れていない会員に向けてはこれまで通り紙媒体での回覧を行うほか、市は操作講習や初期アカウント登録などの支援を行う。
役員の担い手不足
市によると、市内には556の町内会があるが、近年は役員の担い手が不足している。担い手の中心となる前期高齢者(65〜74歳)も今後10年で減少が見込まれるほか、働き方も多様化していることから、役員の事務負担軽減を目的に事業を開始した。事業費は約600万円。そのうち300万円は国のデジタル田園都市国家構想交付金で賄う。有効性を確認して課題を整理し、問題がなければ2024年度以降は他町内会でも導入を進める。
細川学区の緑陽台町内会では、7月1日から1年間の予定でアプリを導入。8月26日時点で全260世帯中約240世帯(87.5%)が登録している。電子回覧板をはじめとした会員へのお知らせや掲示板、書類格納機能を活用。安藤暢将総代(45)は「これまで区長、組長を通して情報を発信していたが、(アプリの導入で)情報がダイレクトに住民に行くようになった」と効果を実感している。「一番おっくうだった」とする配布物は、紙媒体をPDF化した上で電子回覧板に掲示。今後は市からの全配布物の電子データ化に期待を寄せる。
緑陽台は平均年齢40代前半の若い世帯が多い住宅地。会員からは「働く中で役をやるのはしんどい」という声も上がっていた。導入後の立ち上がりは順調で、今後は細かな使用方法のレクチャーなどを通じてさらなる普及に努めるという。
安藤さんは「アプリがあった方が伝わりやすさは上がる。世代に関係なく(アプリを)入れてもらい、活用できるようになれば」としている。