ブドウ畑の獣害防げ
東レとグループ会社がネットを設置
岡崎市矢作町の東レ株式会社岡崎工場とグループ企業の東レコムズ岡崎株式会社は11日、自社で製造・販売するポリエステル繊維を使った農業用獣害対策ネットを、同市滝町のブドウ畑に試験設置した。
設置したのは、ナカダ産業株式会社(静岡県島田市)と共同開発した「かたまったくん」。熱を加えると固くなる繊維を使用しており、自立性や耐久性に優れている。ネットの高さは35〜40センチ。上部には通電部、下部には地面の掘り起こしを防ぐため、地面と平行になるよう10〜15センチの柔軟ネットを用意する。アライグマやアナグマ、ハクビシンなどの中小型獣がネットを認識し、手を掛けると感電し逃亡するという流れを想定している。
この日はブドウ農家の森誘子さん(61)の畑で、両社員ら15人ほどが設置作業を行った。広さ35アールの畑の周りに2.5メートル間隔で支柱を立て、400メートルにわたってネットを張り巡らせた。
両社が、社会貢献活動の一環でJAあいち三河に打診して実現した。県西三河農林水産事務所農業改良普及課によると、市内で2021年度に確認された中小型獣による果樹被害の金額は約180万円。森さんの畑でも毎日20〜30房が獣害に遭っているという。ネットは9月上旬まで設置。効果を確認して対策につなげるほか、JAによるネットの周知も行われる。
東レの船津義嗣生産本部産業用フィラメント技術部長(52)は「岡崎工場で糸を作っていることはあまり知られていないので、少しでも地域に貢献する姿を見せられれば」と述べた。 (犬塚誠)