岡崎市洞町のスペイン料理店「洞町スペイン酒場Jugem」がこのほど、スペイン・バレンシア州の都市ガンディアで開かれたパエリア(スペインの米料理)の世界大会「フィデワ・デ・ガンディア」のデザート部門で優勝した。同店では8月末まで、世界の舞台で絶賛されたデザートを味わうことができる。 (酒井希実)

ガンディアはフィデワ(パスタで作るパエリア)の本場で、同大会はスペインで開かれる大きなパエリア世界大会の一つ。スペインをはじめ世界中の有名レストランなど約30組が出場した。同店オーナーシェフの橋本良太郎さん(43)は数々の国際大会に出場し、優勝経験もあることから日本代表として大会に招待された。これまではパエリアで勝負してきたが、パティシエの浅井三貴さん(30)と共に初めてデザート部門に挑戦した。

サンセットガンディア

材料の条件になっているバレンシアオレンジを最大限に生かしたメニュー「サンセット・ガンディア」を約1年かけて開発。日が沈むガンディアの光景をイメージし、黒い皿で夕暮れを、オレンジのゼリーで夕日を表現した。柔らかいゼリーはオレンジの甘みや酸味にピンクグレープフルーツの苦みを加えている。砂糖とサングリア(赤ワインに果物を入れた酒)、砂糖のみの2種類で煮て半分乾燥させたオレンジのスライス、アールグレイ(紅茶)のチーズムースがゼリーの中に入っており、底はクッキー生地になっている。「想像を覆す組み合わせ」と橋本さん。スペインの菓子は日本人にとってかなり甘いものが多いが「自分たちがちょうどいいと思う甘さにすれば自信を持って出せる」と言い、パエリアを食べた後を想定してすっきりした甘さに仕上げた。

これまでの経験から、現地でのハプニングにも対応できるよう本番4日前にスペイン入り。日本で考えたレシピを基に、現地の市場にある材料で調整した。当日は世界のグルメ界で名だたる審査員10人ほどの前で、完成したデザートを盛り付け。「初めての味」「日本人ならではの繊細さ」などと絶賛され、満場一致で優勝が決まったという。

浅井さんは「成長するために挑戦して、まさか優勝するとは思っていなかった。人生で初めての1位。うれしかった」と喜び、橋本さんは「これからもいろいろな大会に挑戦したい。スペイン人に認められた味を日本で伝え、スペインを身近に感じてもらいたい」と意気込む。

来月末まで1日6皿限定

850円、1日6皿限定で提供している。予約は同店(24―4797)へ。