家康の選択に迫る
東大・本郷教授が講演
徳川家康が苦難や危機に際して下した判断から、人生の選択の在り方を考えるシンポジウムが11日、岡崎市菅生町の岡崎信用金庫本店で開かれた。一般社団法人徳川家康公に学ぶ会主催。
愛知県内外から約250人が参加した。基調講演では東京大学史料編纂所の本郷和人教授(62)が登壇。母・於大の方との幼少期の別れや本能寺の変後に堺から逃げ延びた伊賀越えといった家康の苦難の中でも、特に重要な選択を迫られた武田信玄との戦いや豊臣秀吉の家臣となった出来事などを軸に話を展開した。
武田との戦いについては、同盟を結ぶ織田信長がほとんど助けに来なかったにもかかわらず、信長との約束を破らずに必死に戦った姿勢を例に「家康は律儀者だった」と分析。「歯を食いしばった日々が一生の財産になった」と評価し、信用こそが家康が天下人となれた要因であり、現代の日常生活でも重要であると力説した。
さらに、NHK大河ドラマ「どうする家康」にちなんだ話もあった。家康が長男信康と妻・築山殿を死に追いやった出来事の描き方として、歴史考証の学者が提唱する新説を基に「家康と信康が避けられないぐらいの対立構造になると考えられる」と大胆予想。自身の学説とは異なることを前置きしつつも、「当たったら褒めてくださいね」とおちゃめな一面も見せて会場を沸かせた。(犬塚誠)