国宝級の展示にも期待
幸田町 新郷土博物館建設計画策定へ
幸田町は新年度、新郷土博物館の建設に向けた基本的な構想や計画の策定に着手する。町に適した新博物館の在り方について検討を進め、全町挙げた議論の土台づくりに取り組む。28日開会の町議会3月定例会に上程する一般会計当初予算案に事業費696万円を計上している。(犬塚誠)
2023年度は建物の規模や収蔵物の選定、付属設備などを盛り込んだ基本構想や計画を定め、24年度に基本構想を基にした検討や用途変更などの調整を実施。25年度には基本設計を行う。計画が順調に進展すれば、28または29年度ごろの開館となる。
町教育委員会生涯学習課によると、21年度には学識経験者らで構成された検討委員会が発足し、年に2、3回程度会合を開いて話し合いを進めている。建設候補地については町立図書館西側の、国道248号に面する庭園「思索の森」を推す意見が出ており、現時点では同所が有力視されている。
新博物館には常設展示室や企画展示室、収蔵庫などの整備を想定。資料に悪影響を及ぼさない建材を使用するなどして文化庁の許可が下りれば、国宝や重要文化財の展示も可能になる。国宝級の文化財が展示できる町村立の博物館は愛知県内では初めてとみられ、巡回展の受け入れはもちろん、同町ゆかりの貴重な文化財が“里帰り”する機会も増えるという。「博物館」としての収蔵品の充実も図り、現在は町外に流出している大久保彦左衛門関係の資料などの収集にも力を入れる。さらに、子どもの増加によって1度に受け入れられなくなっていた児童の見学もできるようになることから、学校や教育機関との官学連携も視野に入れる。
なお、現在の町郷土資料館は5年ほど先まで運営され、新博物館への移行後は取り壊される予定。自衛隊から無償貸与されている屋外展示の戦闘機などは返還する。
担当者は「町民が自信を持って案内でき、大人も子どもも利用しやすい施設になるようにしたい」としている。