コロナ禍長引く結果に
岡崎市の21年度観光白書
岡崎市はこのほど、昨年度(2021年4月〜22年3月)の観光に関するデータをまとめた観光白書(速報版)を公表した。国内で新型コロナウイルス感染が拡大した20年度(20年4月〜21年3月)と比較して観光客数や観光消費額など上向きになった指標はあるが、全体的にコロナ禍が長引いていることが分かる結果となっている。(横田沙貴)
同白書は、市が17年3月に改定した「岡崎市観光基本計画アクションプラン」(事業期間17〜20年度)に沿って毎年作成。プランの基準年となっている14年度(14年4月〜15年3月)と20年度の達成を目指した観光客数や経済効果、目標値、直近2年の情報を比較している。プランの事業期間は終了しているが、コロナ禍で内容の改定を保留している関係上、20年度の目標値で達成度を算出している。
目標達成率については、「経済効果」が404億円の目標値に対し、228億円。緊急事態宣言発令や感染者数の増大などにより、家康行列や岡崎城下家康公夏まつりと花火大会が中止となり、ほかの行事も縮小開催。代替イベントが企画されたが、来訪者の減少で観光消費額(宿泊・日帰り客含む)は目標を下回った。
一方、「来訪者満足度」は目標値(70.0%)を上回る72.3%で、この項目は同プラン策定後初めて目標が達成された。同市観光推進課は
- 公式観光ウェブサイト「岡崎おでかけナビ」をはじめとした情報発信手段の充実
- 岡崎を拠点に活動するユーチューバー「東海オンエア」ファンが動画で登場するスポットを訪れたことによる充足感
- 土産品やご当地グルメの充実
―と分析している。
今後の課題としては、SDGs(持続可能な開発目標)に基づく持続可能な観光の実現を挙げている。また、NHK大河ドラマ「どうする家康」を契機にした観光消費の回復、大河ドラマ後を見据えたニューツーリズム(体験や交流といった従来の観光旅行と異なる新しい形態の旅行)の充実を図る必要があるとしている。
昨年度の観光入込客数(岡崎市内の観光関連施設の利用客の総数)は324万7795人で前年度比14.4%増だが、14年度より16.1%少ない。宿泊者数は27万7417人で前年度比48.5%増、14年度比29.3%減。観光入込客数より宿泊者数の前年度比の増加率が高い理由は「ビジネス客が主流」としている。
観光消費額の14年度比は宿泊客の総消費額が21.9%増。土産物購入費は42.2%増、飲食費が88.5%増だった。日帰り客も土産購入費や飲食費が増加したが、市内交通費や入館料・施設利用料・体験料が減少、総消費額で7.8%減となった。