八丁味噌2社は「八丁町」に
12月市議会に町名変更案を提出
岡崎市は、伝統的な製法で八丁味噌を生産する2社がある「八帖町」の町名の一部を「八丁町」に変更する議案を12月1日開会の同市議会12月定例会に上程する。八丁味噌の地理的表示(GI)保護制度を巡る問題に関連した対応で、中根康浩市長は「見直しに向けた支援策として提案する」としている。(横田沙貴)
対象範囲は合資会社八丁味噌(屋号カクキュー)とまるや八丁味噌の敷地のみで現在の「八帖町」全体の2割程度に当たる約2.8ヘクタール。それ以外の町名や番地の変更はない。議案が可決されれば、12月26日から町名が変更される。
八丁味噌のGI登録を巡っては、2015(平成27)年にカクキューとまるやの両社で組織した八丁味噌協同組合が生産者団体として申請したが、農林水産省から再三の生産地域変更を要請され、「このままでは登録されない」と判断し、いったん申請を取り下げた。その後、両社が所属していない愛知県味噌溜醤油工業協同組合が生産団体となる申請が登録された。八丁味噌協同組合は署名活動や不服審査請求などを実施。岡崎市や同市議会は同省への登録見直しを求めて要望書の提出などを行っている。
八丁味噌は岡崎城から八丁(約870メートル)の場所にある八丁村で作られていたとされることが名前の由来となっている。2社のある地域は、江戸時代には「八丁村」あるいは「八町村」と記載されていたとされており、1878(明治11)年に松葉町との合併で「八帖村」となり、現在の町名になったとされる。今回の変更で2社の敷地を「八丁」の名を含む名前にすることで、生産地と商品の名称一致、消費者へ八丁味噌の産地として印象付けるといった効果があるとしている。
18日の定例記者会見で中根市長は「八帖町の字が異なる件は農林水産省とも議論になっていないが、付け入る隙を与えないというのが今回の狙い。八丁味噌は岡崎のアイデンティティー。町の名前を変えてでも『八丁味噌は岡崎のものだ』ということは守り通していきたい」と提案への思いを述べた。