森との架け橋に
岡崎 神社の不要木で舟を制作
岡崎市田口町の熊野神社で支障木として伐採されたシイを使って丸木舟(1本の丸太をくり抜いて作った舟)を作り、同市中心部を流れる乙川に浮かべて森とまちをつなぐ活動を展開する「乙川丸木舟プロジェクト」。7月のイベントでは乙川で丸木舟の“運行”に成功し、9月には市内で展示も行う。メンバーの榊笙子さんは「1本の木からできた舟が森を知ってもらうきっかけになり、森と人をつなぐ架け橋になれば」と期待を寄せる。(竹内雅紀)
熊野神社付近に住む榊さんは昨年秋に伐採され、不要木となっていたシイの存在を知った。「せっかくの大木を生かしたい」と思い、知人で丸木舟を過去に2艇制作した平田文典さん(54)に相談したのが始まりだった。平田さんによると、伐採されたシイの樹高は約30メートル、樹齢は65年といい、木の反り具合などから「丸木舟を作れそうだ」と判断した。
神社や地域、専門家の協力もあり、シイの大木は榊さん宅の敷地に運ばれ、丸木舟に生まれ変わることになった。平田さんが本格的な制作に入ったのは今年5月。通算37日間で、全長5.5メートル、横幅0.6メートル、深さ0.4メートルの丸木舟が完成した。定員は4人(理想は大人2人、子ども2人)。途中でワークショップを開き、制作体験も市民らにしてもらった。平田さんは「これまでの2艇の素材はタブノキとスギ。今回のシイは、大きくて重く(推定重量約800キロ)、堅かったが何とか仕上げることができた。“平野部”の方々に自然環境とのつながりを感じてもらういいツールになるのでは」と語っている。
7月の乙川イベントでは50〜60人に乗ってもらったという。乙川丸木舟プロジェクトでは来年度から定期的に乙川で運行できるよう準備を進めている。また、今年9月3、4日に同市千万町町の愛知県野外教育センターで開く有料イベント「森の上映会&トークライブ」内で丸木舟の展示を行う。紀行ドキュメンタリー「グレートジャーニー」で有名な探検家・関野吉晴さんの出演映画の上映とトークライブが昼の部(3日正午〜)と夜の部(同日午後4時30分〜、宿泊も可)で開かれる。申し込みや問い合わせはから。締め切りは8月26日。