筆柿の未来のために
幸田 町内企業従業員らが収穫祭
幸田町長嶺の畑で10日、町内の企業で働く従業員とその家族や非農家の町民などで構成される「こうた筆柿応援隊」による筆柿の収穫祭が開かれた。同町が今年度始めた「特産筆柿産地持続化支援事業」の一環として実施。事業を通じて生産者や栽培面積の減少に歯止めをかけるとともに、新規生産者の掘り起こしを目指す。(犬塚誠)
収穫祭には、同隊の39グループ123人が参加。990平方メートルほどの畑に育つ約60本のうち、各自が担当する木の枝にはさみを入れ、計50キロほどの量の筆柿を収穫した。
また、収穫だけでなく木の手入れも並行して実施。枝や幹に付着したコケをそぎ落としたり、不要な枝を切り落としたりして来年の収穫に備えた。
両親と参加した西尾裕翔ちゃん(3)は「(はさみで)チョッキンするのが楽しかった」と笑みをこぼした。
同町が全国シェアの95%以上を占める筆柿だが、ここ5年間で生産者数は22人、栽培面積は22ヘクタールそれぞれ減少。2018(平成30)、19年には2年連続で収穫高が1億円を切るなど、危機的状況となっており、成瀬敦町長も「非常に窮地に陥っている」と憂慮する。
そこで町は、こうした現状の打開を目指して同事業を開始。「デンソー幸田製作所」(同町芦谷)の従業員などが同隊に参加し、7月から人の手が入らなくなった町内の筆柿畑の再生に取り組んできた。今後は、来年1月23日に剪定を実施するとしている。
町産業振興課の稲吉仁課長補佐は「現状が悪化すれば、幸田町が全国に発信できるものが減ってしまう。そうならないためにもまずは、筆柿の周知に取り組んでいきたい」と意気込んでいた。