和菓子で歴史に興味を
五万石藤見屋が「時津風」復活
岡崎市本町通1の老舗和菓子店「五万石藤見屋」がかつて販売していたようかん「時津風」を約10年ぶりに復活させた。今では相撲を連想させる時津風だが、商品名の由来は戦国時代の岡崎城内にあった竹やぶの竹という。4代目の西山高弘さん(58)は「今では面影はないが、和菓子を食べることで郷土の歴史に興味を持つきっかけになれば」と思いを寄せている。(竹内雅紀)
商品は2種類。昨年に抹茶味、今年6月から小豆味を販売し始めた。抹茶味は、郷土の英雄・徳川家康の生誕日を祝う市の企画「家康公スイーツプロジェクト2020―2021」にも登録。竹をイメージしたデザインがあしらわれたパッケージには「家康公初陣ようかん」と記されている。竹を縦に半割りしたような形も特徴的だ。
同店によると、かつて岡崎城内には「時津風」に関する立て札があり、記載内容を参考にして明治時代に初代店主が商品化。当時の札によると、家康が戦の際に城内の竹やぶの竹を切って旗竿に使ったところ勝利したため、用いた竹が「時津風」(良いタイミングで吹く追い風という意味)と命名された。竹は一般的なイメージが強いモウソウチクのような太いものではなく、細いものだったとされる。ただし、その場所は現存しておらず、どの場所にあったかも定かではないという。
「2年後にはNHK大河ドラマ『どうする家康』が放送される。これを機に時津風についても調べたいが、そのすべがない。せめて和菓子を通して歴史について興味を持ってもらえたら幸い」と西山さん。
商品は共に600円。