ノンアル市場開拓
飲食店が“ゲコノミクス”
岡崎市内の酒類販売業「発知商店」(発知良介社長)とフランス料理店「bistrot Ao(ビストロアオ)」(渡辺博史シェフ)が、「ゲコノミクス」と題し、下戸(酒が飲めない人)をターゲットとした新市場の開拓に力を入れている。両店は、政府の3回目の緊急事態宣言(4月25日発令)により酒類・カラオケ設備を提供する飲食店などに休業要請が出されたことを機に取り組みを本格化させた。(髙木駿太郎)
発知商店は、ゲコノミクスの取り組みとして、新サービス「プレミアノンアルモッテ GO!」をスタート。コンビニやスーパーなどでは手に入りにくい本場・ドイツ産のビールやワイン産地として知られるフランスのスパークリングワイン、地元産の甘酒、瓶ジュースといったノンアルコールドリンクの品ぞろえを拡充。また、ノンアルコールで作るカクテル「モクテル」のレシピ提供を始めた。
今回の緊急事態宣言で酒類の提供が難しくなった同店の卸先である飲食店から「この機会にノンアルコールメニューを強化したい、取り扱いたい」という要望が増えたのも後押しになり、「アルコールが飲めない人も一緒に楽しめる方法を提案したい」と同サービスを考案した。
発知稔生専務は「さまざまなノンアルコールドリンクを気軽に楽しんでほしい。酒類の提供が難しい飲食店にも珍しいノンアルコールメニューがあることや可能性を知ってもらいたい」と熱意を見せる。
肉料理とのワインペアリング(相性の良いワインと料理を組み合わせて提供すること)が特徴のビストロアオでは、ソムリエの資格を持ち、東京の飲食店で約19年間技術を培った渡辺シェフが開発したノンアルコールワインを定番メニューに置いた。
開発したノンアルコールワインは、ソムリエの知識と料理人の技術をそそぎ込み、「よくあるノンアルコールワインは甘みが目立つ」ため、フランス料理との相性を考えて甘さを控えめに一から調整。また、赤・白ワインの風味や後味、舌ざわりを再現したこだわりの商品だ。
今後は再現が難しいとされる、たるの香りが漂うワインの開発のほか、ペアリングで提案するワインのようにノンアルコールカクテルが準備できるように「ラインナップを8種類ほど増やす予定」という渡辺シェフ。「普段、酒を飲んでいる人でもおいしく味わえるノンアルコールカクテルを目指している。ドライバーや妊婦といった飲酒を控えているお客さんにも雰囲気を楽しんでもらえるような店にしていきたい」と笑顔を浮かべている。