休業、時短、閉店
岡崎市内の飲食店 緊急事態宣言下の反応
愛知県は、新型コロナウイルス感染拡大に伴う緊急事態宣言を受け、県内では初めてとなる酒類またはカラオケ設備を提供する飲食店などの休業を要請している。事態収束のめどが立たず困惑する岡崎市内の飲食店関係者に話を聞いた。(髙木駿太郎)
先が見えず不安 「しょうがない」
要請を受けて休業中のバーの経営者は「午後8時までの時短にすると2時間しか営業できない。食材の準備などを行ってお客さんが来なかった場合は無駄になる。休業するしかない」と語り、「しょうがない」と自身を納得させるかようにつぶやく。
3回目となる国の緊急事態宣言と休業要請について「まん延防止のために必要と(政府が)考えたのなら従う」とした上で「ルールは守るが、1年以上経過している中で先が見えないと不安になる。岡崎市もほかの自治体の対策などの良いところをまねして動いてほしい。リーダーがふがいないと組織が壊れる」と厳しい意見を言い放つ。
明確なルールを “要請”の取り方
酒類の提供をやめた上で時短営業する飲食店もある。竜美南4のスペイン料理店「タンボラーダ」は、午後5時〜午前0時の営業を「午後8時まで」に短縮。昨年4月の緊急事態宣言から席数を減らしたり、テークアウトに対応したりしてコロナ禍を乗り切ろうとしている。オーナーシェフの奥谷誠仁さん(36)は「食べることはなくならない。料理と食事の楽しみを届けていきたい」と意気込みを見せている。
しかし、新型コロナ感染拡大防止の対策を講じた上での営業は「たくさんのお客さんを受け入れられない」ため、訪れた客に「この店はいつ来ても、入れない」というクレームを受けたり、SNS(会員制交流サイト)で非難するような投稿をされたりすることもあるという。こうした状況から、「休業“要請”だと各飲食店で対応が違う。そうすると自分の都合を前面に出してくるお客さんも現れる。いっそのこと『営業するな』と言ってくれた方がやりやすい」とぼやく。
新型コロナに対する政府の対応については「やれるのであればロックダウン(都市封鎖)などのような明確なルールを出してほしい」とし、岡崎市については「頑張っているように感じない。コロナで苦労している市民のためとした1人5万円もなくなったし」といら立ちを見せる。
生き残りのため 通常営業も視野
牧御堂町でバーベキュー場とカラオケ設備を提供している会社「UEKO」(天野敬介社長)は、新型コロナの感染拡大の影響により、経営していた居酒屋を今年3月に閉店。天野社長は、ほかの事業を存続させるために借り入れをしているが、返済用にためていた資金を切り崩している状態。「倒産するかもしれない」と険しい表情で語る。
また同社は、「ランニングコストだけで約200万円の支出が出る」ため、「現状の協力金(売上高に応じて1日4〜10万円)では全然足りない」としており、「協力金などが変わらないのであれば生き残るために、通常の営業をするしかない」と覚悟を決めている。
天野社長は「国は会社がつぶれた時は、何もしてくれない」と憤りを見せ、「もっと飲食店に歩み寄ってほしい。このままでは、地元に根づいた飲食店がなくなる」と頭を抱えている。