こだわりのイチゴアイス
皮革会社が製造・販売
皮革製品や発泡品加工などを手掛ける岡崎市柿田町の「タナベ」(田辺一雄社長)がこのほど、同社の完全閉鎖型植物工場でイチゴの栽培を始め、そのイチゴを使用したアイスミルクを販売している。同社によると、植物工場でのイチゴの栽培は愛知県内では初めて。(髙木駿太郎)
完全閉鎖型植物工場は、植物の育成に適した環境を人工的に制御する、隔離された植物工場。
- 人工光を利用し、気温、湿度などを管理するため、天候不順などの気候に左右されない周年栽培
- 安定した収穫・供給
- 病原菌や害虫が侵入しにくい環境による無農薬栽培
―といった特徴がある。さらに、同社はイチゴの大きさや糖度、収穫時期をハウス栽培と比較してコントロールすることができるという。
栽培面積は約100平方メートル。収穫量は明らかにしていないが、同じ面積のハウス栽培の約3倍という。イチゴの品種は愛知県で生まれた甘い香りと酸味が少ないことが特徴の「あかねっ娘」。「タナベブランド」として「工場苺タナベリー」の名を付けた。
アイスは老舗ジェラート店「ぷらんぼん」(名古屋市東区)と協力し、試作期間1年を掛けて開発。アイス専用に糖度を調整(約10度)して栽培したイチゴの果汁20%を使用している。イチゴの風味とミルクのまろやかさのバランスにこだわり、イチゴの香りと程良い甘さが口の中に広がる一品に仕上がった。
岡崎市藤川町の道の駅「藤川宿」や通販サイト「ポケットマルシェ」などで販売。また、スーパー銭湯「楽の湯おかざき」(同市庄司田1)と「葵湯」(同市戸崎新町)でも来週から販売を開始する。そのほか、6月ごろには生食用のイチゴも発売予定。
同社が完全閉鎖型植物工場でのイチゴの栽培に踏み切ったのは、ベトナムのホーチミン市でレタスの植物工場を約7年行っていることから、そのノウハウを生かして国内であまり例のない栽培によるイチゴの販売を「やってみよう」と考えたことがきっかけ。技術・開発マネジャーの西村宣久さんは「こだわって製造したアイスを味わってほしい」と熱く語っている。