市民の気持ち愚弄
八丁味噌GI問題 中根市長「岡崎の老舗2社を応援」
農林水産省の地理的表示(GI)保護制度の八丁味噌登録をめぐり、岡崎市の八丁味噌協同組合(八丁組合)が求めていた別の団体の登録取り消し請求が棄却されたことを受け、中根康浩市長は22日、「多くの署名が集まる中での大臣裁決は、市民の気持ちが愚弄されており、残念だ。今後さまざまな打開策が検討されると思うが、市として老舗2社(カクキュー、まるや)を全力で応援する」と述べた。
この日、衆院愛知12区(岡崎・西尾市)選出の重徳和彦氏(50)=立憲民主党=が市役所を訪問し、19日の裁決後に野上浩太郎農水相に対して、抗議と事態打開に向けた申し入れをしたことを報告した。重徳氏は、愛知県味噌溜醤油工業協同組合(県組合)のGI登録の経緯で、地域内での合意が形成されなかった点や八丁組合の方針の軽視などを問題視。「元祖だけがGIを外れる事態が3年以上続いている状況はおかしい。制度そのものの信頼に関わる」とし「2社は窮地に追い込まれている。市民代表として支えてあげてほしい」と要請した。
八丁組合は産地と風土が結びついたGIブランド取得を目指し2015(平成27)年6月に農水省へ申請。県組合も同時期に申請していた。両者では八丁味噌の製造方法や生産地域が異なるため、約2年間調整したが統一されず、八丁組合が申請を取り下げ、17年12月に県組合が登録された。八丁組合は不服審査請求したが、同省の第3者委員会は「登録は違法・不当とはいえない」と結論づけていた。
八丁組合は提訴する意向。中根市長は昨年10月の市長選で「八丁味噌GI問題解決を政府に申し入れ」を公約に掲げ、11月に同省に申し入れしたが進展はみられなかった。(横田沙貴、竹内雅紀)