景気後退の予兆?
岡崎市 低入札価格調査相次ぐ
岡崎市が発注する公共工事の一般競争入札の中で、高価格の総合評価方式の案件で「低入札価格調査」という事態が相次いでいる。昨年度は1度もなかったが、今年度は9月までの半年間で既に5件。新型コロナウイルス感染拡大に伴い、民間の設備投資が滞り、業者が公共事業にシフトして競争が激化しているという見方もできる。(竹内雅紀)
一般競争入札の基本は、市が公表した予定価格に対して、応札した業者の中から最低価格を提示した業者が落札する。ただし、総合評価は価格だけでなく、技術力なども加味した総合点で業者が決まる。同市の場合、土木・建築工事が8000万円以上、その他工事は6000万円以上が総合評価の目安という。
低入札価格調査は、総合評価の予定価格よりも一定額下回った場合に発生する。その基準は非公表で工事の種類によって設定が異なるが、予定価格の90%前後とみられる。ただし、価格が低過ぎると低価格で失格になる。過度の低価格は、工事の手抜きや不履行の可能性があるからだ。調査は、非公表の基準値を下回るが、その基準値の97%以内という絶妙な提示価格の場合に実施。仮に基準値が90%で予定価格が1億円とすると、単純計算で8730万円〜8999万円の応札業者が対象になる。
市契約課によると、同市では6、8月に1件ずつ、9月に3件の調査を実施。工事の種類は電気と水道だった。今後もこの傾向は続くとみられる。市内のある業者は「新型コロナの影響で春先に営業ができず、住宅関係の仕事が入らない状況もあった。公共工事もやれる力のある業者が公共に集中することはありうる。その場合、ギリギリの線で落札を狙う」と言う。また「来年度は税収減により、公共の数も大幅減となるはず。リーマン・ショック後の時と同じような感覚。今から恐ろしい」と不安を口にする。