企画展「杉本健吉展―ご遺族秘蔵の寄贈作品より」が12月3日から14日まで岡崎市美術館で開かれる。杉本さんは平成16年2月、98歳で死去。同年、遺族から岡崎市に寄贈された約70点を展示する。そのうち半数以上が今回初公開。小学生時代の油絵から素描、水彩画、絶筆の屏風(びょうぶ)までが並び、杉本さんの画業を展望することができる。
杉本さんは明治38(1905)年、名古屋市に生まれ、京都で岸田劉生に師事。梅原龍三郎の影響も受け、大和の風物に魅せられて戦前から奈良に通った。
昭和25(1950)年から週刊朝日連載の吉川英治作「新・平家物語」の挿絵を担当、広く知られるようになった。昭和37年に初めて欧州へスケッチ旅行。その後、中近東や中国、韓国などへ出かけ、多くの作品を残した。
杉本さんは生前から「私の作品は美術館で展示してほしい」との意向だったといい、昭和62年に名古屋鉄道による「杉本美術館」が愛知県美浜町に開館。また、岡崎市へ作品が寄贈されたことについて、学芸員の村松和明さんは「遺族が、おかざき世界子ども美術博物館があることを意識されていたようです」と話す。
板に描いた小学生時代の油絵「津島千本松原」(制作年不明)は縦18.5センチ、横13.6センチ。杉本さんが初めて描いた油絵の小品だが、筆遣いが見事で絵の具も色あせておらず、貴重な作品だ。
出品作の展示構成は
―となっている。
会期中は無休。開館時間は午前10時―午後6時。入場料は一般300円、小・中学生100円。