■ほめ言葉などで脳の「線条体」反応
生理研の定藤教授ら解明
自然科学研究機構・生理学研究所の定藤規弘教授(神経科学)ら研究グループが、ほめられるなど人の利他的欲求が満たされた場合、食欲、金銭欲などの利己的欲求と同様、脳内のほぼ中央に位置する運動機能の制御部位「線条体」が反応することを明らかにした。24日付の米・脳神経科学誌「ニューロン」に掲載される。
グループは血流の増加量を調べる機能的核磁気共鳴機能法(fMRI)を使い、20歳前後の男女19人に少額の金銭を与える実験を実施。その後で一人ひとりの自己紹介ビデオを作成し、20代前半の大学生8人に見てもらった。
実験に参加した男女は後日、大学生が寄せた「やさしい」「真摯(しんし)」「思いやりがある」「心が広い」「忍耐強い」などのほめ言葉を挿入したビデオを鑑賞。線条体の一部である尾状核と被核の血流量を調べた結果、金銭的欲求と血流量の増えた位置が重なった。
定藤教授は「利己的、利他的に関かかわらず、人の複雑な社会的行動を神経科学の側面から解明する重要なステップ」と話している。
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