花火大会中止
岡崎市 新型コロナ収束めど立たず
岡崎市は8日、岡崎の夏を彩る一大イベントである「岡崎城下家康公夏まつり」の「第72回花火大会」(9月12日、市と岡崎市観光協会主催)を中止すると発表した。1948(昭和23)年の第1回から記録に残る中で中止になったのは初めて。新型コロナウイルス感染状況の収束が見通せない現状を受けた「苦渋の決断」となった。(横田沙貴)
花火大会の中止は記録に残っていないが、51、53、54、69、70、75年の計6回、台風や雨天で延期された過去がある。今年の花火大会は、東京五輪・パラリンピック(3月に延期が発表済み)のため、例年より約1カ月遅く開かれる予定だった。
だが、新型コロナの発生状況や、国の緊急事態宣言期間の延長、隣接する豊田市の「第52回豊田おいでんまつり」をはじめとしたさまざまなイベントの中止といった状況を踏まえて、中止を決定。関係者への影響を最小限に抑えるため、企業、団体、個人からの協賛募集を開始する前に公表した。毎年5月中旬ごろから協賛者の募集を行っており、昨年は約800件約8000万円の協賛が集まった。
今年の花火大会に計上されていた予算(安全対策費と煙火打上費)約1億2000万円は、新型コロナ関連の対策に充てられるという。秋までにある程度事態が収束した場合、岡崎城下家康公秋まつり(10月31日、11月1日の予定)や11月の「岡崎泰平の祈り」などでの花火打ち上げも検討していくという。
内田康宏市長は「再生日本の打ち上げ花火として何とか行いたかったが、市民や花火見物者の健康と安全を第一に考えると、非常に残念だが中止した。毎年何十万人と来場する花火大会を行ったら、3密を避けるのは事実上不可能。涙をのんで中止した」と述べた。
なお、花火大会の前後に行われていた「岡崎城下家康公夏まつり」(同まつり実行委員会主催)は、「中止の方向で検討している」という。
市制記念式は規模を縮小
また、7月1日の市制記念日に市民会館で開催予定の「市制施行104周年記念式」は規模を縮小して実施すると発表。毎年1100人ほどが出席していたが、今回は来賓を招待せず、表彰対象者(約100人)を含めて出席者数を300人ほどに限定する。式は功労者の表彰を主軸にし、小学生代表の「誓いの言葉」や中学生代表の「合唱」などは取りやめる。実施時間は約1時間30分から、30分〜1時間ほどまでに短縮できる見通しだという。
市秘書課によると、市の発展への功労者の表彰は、市表彰条例で同記念式の中で行うよう決まっているため「表彰だけでもなんとか行いたいという思いで縮小を決めた」と話した。ただし、新型コロナの影響による市民会館の臨時休館が続く場合は、式の中止や、表彰状の郵送などの対応を考えているという。