県指定文化財に
滝山寺の仏像・工芸品など
岡崎市指定文化財の仏像「木造毘沙門天立像」と工芸品「蒔絵曲禄」(共に滝町の滝山寺所蔵)、市指定天然記念物「下山小学校のヤマザクラ」(保久町)が、きょう7日付で愛知県の文化財に指定される。(横田沙貴)
木造毘沙門天立像は高さ150.3センチで、カヤとみられる針葉樹材1本から彫り出された。毘沙門天の足下の2体の邪鬼は綱で縛られた珍しい形状という。推定制作年代は平安時代後期に当たる11世紀初期とされており、保安年間(1120〜23年)に滝山寺が再建された後に造られた本尊の薬師如来座像より古い。県内の毘沙門天像としては3番目に古く、創建期の同寺や当時のこの地域の歴史を考える上で重要として指定された。
蒔絵曲禄(市指定は蒔絵曲)は高さ78.5センチ、幅が最大67.1センチ、奥行きが117.3センチ。曲禄は僧が法事などで使う椅子のことで、全体に塗られた黒漆の上に桐唐草や菊・桐紋、薄に露、葵などの平蒔絵(漆で書いた絵の上に金や銀粉などをまいて仕上げる蒔絵)が施されている。桃山時代末期から江戸時代初期(17世紀前半)に行われた整備時に合わせて作られたのではないかと考えられている。平蒔絵が施された同様の曲禄は極めて少なく、工芸的価値が大きいという。
下山小学校のヤマザクラは1872(明治5)年の開校以前よりあったとされ、推定樹齢は300年。高さ8.57メートル、幹回り4メートル、枝張りが東西13メートル、南北12メートルで県内有数の規模という。2019年4月2日付で市天然記念物に指定された。地域が連携して保全活動に当たっており、毎年開花の時期に行われている「山桜を愛でる会」には地域住民や卒業生も多く参加するという。県指定で、自然保護意識の啓発や、文化財、地域の歴史、風土に対する理解を深めるきっかけになることが期待されている。
市内の文化財件数の総数は345。内訳は国指定30、県指定43、市指定254、国登録18。