2棟が国の文化財に
冨田家住宅の木南舎と土蔵
岡崎市本宿町の「冨田家住宅木南舎」と「冨田家住宅土蔵」(共に個人蔵)が15日、国の有形文化財に登録されることが決まった。この日の国の文化審議会で、文部科学大臣に答申された。岡崎市内では19、20件目。(横田沙貴)
2棟は江戸時代に本宿陣屋の代官を務めた冨田家が江戸末期〜明治初期に建造。明治に入り医者として開業後も、陣屋と代官屋敷を受け継ぎ、2棟を残している。代官屋敷の景観が残る貴重な建造物として認められた。
木南舎は、木造2階建て、瓦葺き、切妻造。幅約18メートル、奥行き約11メートル、高さ約7メートル。棟札によると、1827(文政10)年に5代冨田群蔵常業が建築した代官屋敷の旧主屋。愛知県内の農家に見られる間取りに近いが、「土間を妻側に寄せる」「部材が太い」「居室部分の奥まった場所に床の間を置きL字型に座敷を構える」など武家屋敷の特徴もある。江戸後期に煎茶を広めた茶人の売茶翁方厳が広い庭園と楠の大木から「木南舎」と命名したと伝わる。明治初期と昨年の2度改修され、現在はレストランになっている。
土蔵は木造平屋、瓦葺き、切妻造。幅約9メートル、奥行き約4メートル、高さ約5メートル。家財用の蔵の北に米蔵が隣接。家財蔵にあったはしごには「明治9(1876)年」と書かれている。昨年改修され、菓子工房と展示室として利用されている。