伝統製法を継続
まるや八丁味噌が桶を新調
岡崎市八帖町のまるや八丁味噌が29日、八丁味噌の仕込みに使う木桶を2本新調した。木桶のみで醸造する伝統製法を続ける同社。浅井信太郎社長(70)は「今後も製法は変えずに八丁味噌をつくっていきたい」と意欲的だ。(竹内雅紀、髙木駿太郎)
同社が使用する六尺桶は、桶師で藤井製桶所(堺市)の上芝雄史社長(69)が製造した。吉野杉製で高さ2㍍、直径2.3メートル、側面の厚み約45ミリ、底板の厚さ120ミリ、重量650キロ。2010(平成22)年から発注し、今年の3本(1本は納品済み)で計19本となった。上芝社長は来年で製桶業の引退を明言しており、“最後”の3本が来年納品される。
まるやには現在、約220本の桶があり、最古は1864(元治元)年製。1932(昭和7)年に43本仕入れてから2010年まで約80年間、桶を新調していなかった。上芝社長の引退により、八丁味噌桶製造の全国唯一の職人を失うことになる。農林水産省の地理的表示(GI)保護制度の八丁味噌登録をめぐって揺れる業界だが、まるやとカクキュー八丁味噌の岡崎の老舗2社は昔ながらの製法に誇りを持っている。
「桶自体は100年以上もつが、これから先も必要なもの。今後も伝統製法で八丁味噌を製造するので、後継者を育ててほしい」と浅井社長。上芝社長は「これほど桶を使ってもらえるとは思ってなかった。改元した年に納品できたことは縁起がいい」と話した。