棄却は妥当ではない
行政不服審査会 八丁味噌GI登録問題で答申
農林水産省の地理的表示(GI)保護制度の八丁味噌登録問題で、岡崎市内の老舗2社による「八丁味噌協同組合」が農水省に昨年3月に行ったGI登録不服申し立てを「請求棄却」とする同省裁決案について、総務省の行政不服審査会が今年9月27日付で「現時点で妥当とはいえない」と答申していたことが分かった。
答申書などによると、同省の裁決案では2017(平成29)年12月にGI認定された愛知県味噌溜醤油工業協同組合の申請内容に登録を拒否する理由がないため、岡崎の組合の請求を棄却するとしている。審査会では八丁味噌の社会的評価を裏付ける具体的な資料が見当たらない点や、岡崎と県の組合間で八丁味噌に対する合意形成が十分に図られていない点などを指摘。「必要な調査、検討を尽くされたものとは認められない。現時点で妥当とはいえない」と結論付けた。
審査会の答申に法的拘束力はないが、岡崎の組合は「第三者的な立場からの判断。意義は大きい」としている。
行政不服審査会には各省庁の認定事項などに不服がある場合に申し立てできる。審査会の答申後、各省庁は速やかに「認容」(認定事項などの全部または一部の取り消し、変更など)、「棄却」(申し立てを理由がないとして退ける)、「却下」(審査要件を欠くとして申し立てを退ける)のいずれかを選んで裁決する。