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東海愛知新聞

透過型電子顕微鏡の小型、高性能化に成功

岡崎・生理研などの研究G

岡崎市明大寺町の自然科学研究機構生理学研究所の永山國昭名誉教授、高エネルギー加速器研究機構の永谷幸則特別准教授、光学機器開発などを手掛ける同町の民間会社「テラベース」の新井善博代表取締役らの研究グループが、電子ビームで試料(観察対象)を調べることができる「透過型電子顕微鏡」の小型・高性能化に成功した。()

透過型電子顕微鏡は、電子ビームを試料に照射し、透過したビームの強弱などで構造を調べることができる。調査可能な試料の厚みはビームを加速させる電圧に左右され、1マイクロメートル(0.001ミリメートル)の物質を調べられる顕微鏡は1000キロボルトの高圧電圧、高さが6、7メートル、専用の建屋が必要になる。設置費用は約20億円。試料の加工も難度が高いという。

今回作成した顕微鏡は、最上部に取り付けられた電界放出型電子銃から発せられた100キロ電子ボルトの電子ビームを線形加速器で500キロ電子ボルトまで加速させて試料を透過させ、減速器で200キロ電子ボルトまで減速させてからレンズやエネルギー分析器に照射する。実験では500マイクロメートルの試料まで見ることに成功した。高さは3.75メートルで、設置費用も5億円に抑えることができた。

加速エネルギー量が一定でないと撮影した画像にブレが出るため、加速エネルギーの安定性が課題になった。研究グループは加速エネルギーが最大になる時間帯のみ電子ビームを放出する部品「高周波チョッパ」を取り付けた。

永谷特別准教授によると、線形加速器を顕微鏡に使うのは世界初。今回の研究により、厚い試料を小型の設備で調べられるようになる。

研究成果は米国の論文誌「フィジカル・レビュー・レター」に9日付で掲載された。

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