郷蔵と御廟所を指定
岡崎市 歴史的風致形成建造物
岡崎市は、同市市場町の「市場町郷蔵」と松本町の「松平広忠公御廟所」を、きょう1日付で「歴史的風致形成建造物」(歴史的な風情や情緒、たたずまいの維持向上に重要な建造物)に指定する。8月20日の市歴史まちづくり協議会(瀬口哲夫会長)で答申を受け、決定した。
市まちづくりデザイン課によると、市場町郷蔵は、江戸時代後期の1789(寛政元)年に築造。郷蔵は年貢米の保管や、天災・凶作に備えた穀物の備蓄に使う蔵。全国の各村にあったが、現在は市場町を含めて市内に2棟しか残っていない。1913(大正2)年に徳正寺の参道から、津島神社の参道に移築。横幅2間半(4.36メートル)、奥行き6間(11.94メートル)の木造平屋で、外壁は金属製の波トタンで覆われている。
移築時に改造され、町内に電線が敷設されたことで使用できなくなった山車の一部が梁に使われている。祭具を再利用すること自体珍しく、文化財指定は受けていないが地域の歴史や文化、住民の思いを今に伝える重要な建造物として認められた。
松平広忠公御廟所は、徳川家康が父・松平広忠を弔うために建立した松應寺の境内にあり、1605(慶長10)年に家康が整備。家康が植えた松の木を中心に拝殿、鳥居、玉垣などがあったとされる。土を押し固めて建造物を形成する「版築工法」を用いた珍しい土塀が現存。松平・徳川の両家の縁が深く、家康の生誕地ならではの、歴史的風致を形成するとして選ばれた。