気ままに日本縦断
岡崎の夏目さん 元警察官の73歳が自転車で奮闘
岡崎市小呂町の夏目昌征さん(73)が約1年かけて自転車で日本を縦断した。亡き妻との約束を果たすために一念発起した放浪旅。「マイペースで気ままな旅だった。やって良かった」と笑顔で振り返っている。(竹内雅紀)
新城市出身の夏目さんは高校卒業後に警察官になり、愛知県内の警察署に勤務した。退職後は海外でマラソン、自転車で日本一周―の2つを妻と約束していた。しかし、33年間連れ添った妻が他界。「時間的に余裕があったことと、妻との約束を果たすために決意した」と、70歳を超えての自転車日本一周の旅に挑戦した。
4回に分けた行程を計画。1回目は2016年7月に14泊15日で紀伊半島、2回目は同8月に3泊4日で浜松市周辺、3回目は同10月から翌17年2月まで沖縄を含む西日本、4回目は同年6月から8月まで北陸・東北・北海道だった。4回目は体調を崩し、北海道の途中で断念した。
使用した自転車は、いずれも「ママチャリ」で計3台。タイヤ交換やパンク修理を行いながら、乗りこなした。1日平均走行距離は40〜50キロで、雨天時はかっぱを着用した。最長は、大阪から名古屋までの1日約150キロ。野宿もいとわず、1日の使用金額は平均2,000円ほど。自炊のためのコンロをはじめ約20キロ分の荷物を積んで自転車をこいだ。
過酷だったのは冬の四国の山中。テントで仮眠をとり、起床すると雪が積もっていた。寒さと雪と路面凍結に苦戦しながらも必死に下山。歩道が狭い場所では通過する大型車に配慮し、自転車を引いて歩いたという。
同じような境遇の若者や同世代にも出会った。「全国各地の景色を見ることができ、いろいろな人と会えた。1人暮らしの自分にとってはいい刺激になった」と話す。北海道の一部と東日本太平洋沿いの“未到"の地にも意欲を燃やす。
このたび、「一つの区切り」として、旅の最中のメモや領収書、フェリー乗船券、写真などをもとに1冊にまとめた。出会った旅人たちの名言もある。A5判、186ページ。100部発行。希望者は夏目さん(080―3069―1442)へ。