保存・継承の資料に
岡崎市教委 滝山寺鬼まつりの調査報告書
岡崎市教育委員会は、1年で最も寒い時期に滝山寺で行われ、“天下の奇祭"として知られる県無形民俗文化財「滝山寺鬼まつり」の保存・継承を目的に、鬼まつりの現況や古文書・記録などをもとにひも解いた歴史的変遷をまとめた報告書を作成した。
報告書の作成にあたり、文化庁や県教育委員会、学識者、市教委などで構成する民俗文化財調査員会が2015年から今年3月まで、同寺や鬼まつり保存会などの協力を得て調査した。
鬼まつりはこれまで、新編岡崎市史などの作成(1984年、88年)で調査・報告されているが、54(昭和29)年の県無形民俗文化財指定から60年以上にわたって、本格的な調査は行われていなかった。
報告書は、調査概要や滝地区の生活、滝山寺と鬼まつりの歴史、現在の鬼まつり、鬼まつり最大のクライマックスとなる「火まつり」の主役である冠面者などについてそれぞれまとめた全8章で構成されている。現在の鬼まつりについて記された第5章では、3年前の鬼まつりが本番を迎えるまでの約1カ月余りの準備と本番当日の動きを記録した。
市教委は「江戸時代後期の1782(天明2)年の鬼まつりが記録された文献との比較で、当時と現在の鬼まつりの形態が大きく変化せずに受け継がれていることが確認できた」としている。
報告書は市社会教育課や市役所西庁舎1階の市政情報コーナー、図書館(市立中央・額田、南部、岩津、大平の各市民センター)で閲覧できる。(今井亮)