登録見直しへ署名活動
岡崎 八丁味噌のGIめぐり大学長ら
岡崎市の特産品・八丁味噌の伝統を守るため、市内4大学(愛知産業、岡崎女子、愛知学泉、人間環境)と老舗生産者2社で構成される八丁味噌協同組合が発足させた「岡崎の伝統を未来につなぐ会」(堀越哲美代表)が29日、農林水産省の地理的表示(GI)保護制度における八丁味噌の登録見直しを要望する署名活動を、名鉄東岡崎駅で実施した。(大山智也)
発起人で愛産大学長の堀越代表ら関係者約10人が参加。駅利用者に署名の趣旨やGI保護制度の概要、既に登録されている愛知県全域を生産地とする八丁味噌と岡崎産の八丁味噌の定義の違いなどを説明しながら、署名への協力を求めた。
学生から高齢者まで幅広い年代が署名に応じたが、この日初めてGI登録をめぐる問題があることを知ったという人も少なくなかった。署名をした70代男性は「腹立たしいね。八丁味噌といえば岡崎の味噌。市ももう少し積極的に動いてほしい」と話した。
集まった署名の提出時期については未定。一定数集まった段階で農水相に提出する。
GI保護制度は、伝統的な生産方法や地理、風土、土壌といった生産地の特性が品質に結びつく農林水産物や食品の名称(地理的表示)を知的財産として登録し、保護する制度。2015年に施行され、18年4月10日現在の登録数は62品。西三河地域では西尾、安城両市を生産地とする「西尾の抹茶」が登録されている。
八丁味噌も昨年12月に登録されたが、登録生産者団体の県味噌醤油工業協同組合が示した、
- 愛知県全域を生産地とする
- タンク(醸造桶)で1夏以上(温度調整を行う場合は25度で10カ月以上)熟成させる
- 重石の形状は問わない
―などを定義として認定。一方、八丁味噌協同組合側は伝統的製法を重視し、
- 岡崎市八帖町(旧八丁村)のみを生産地とする
- 木桶を使った天然醸造で2年以上熟成
- 重石は天然石を円錐状に約3トン積み上げる
―などと異なり、GI登録を巡って両団体の主張が対立。江戸時代から続く歴史や伝統ではなく、近代的製法が認められる形となった。